登録区分 | 複合遺産 |
登録基準 | (3), (6), (7), (10) |
登録年 | 1999年 |
中国南東部にある武夷山は、渓流が9回も繰り返すという九曲渓を筆頭に奇岩や渓谷で有名な景勝地。ここは前漢時代の遺跡や朱子学の祖である朱喜が創設した「武夷精舎」など、文化遺産も多くあり、複合遺産ともなっています。
ここでは武夷山がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、武夷山について詳しくなること間違いなし!
武夷山とは?
福建省・北部にある武夷山は、江西省ともほど近く、標高2158mの黄崗山を中心とした奇岩や渓谷が広がるエリア。
文化遺産
中国人にとって人気のある景観が広がっていますが、ここは殷王朝時代の墳墓や前漢時代の都市遺跡など、古くから人々が暮らしていた足跡が残っています。渓谷沿いにはほとんどが廃墟であるものの、寺院や僧院などが点在。そして、儒教から発展した朱子学の祖・朱喜が創設した「武夷精舎」などがあり、11世紀以降に東アジアの文化に大きく影響を与えた朱子学が発展した場所でもあります。
ちなみに、日本でも江戸時代には朱子学が流行して、江戸幕府でも採用されるほど。
自然遺産
世界遺産としては武夷山風景区が主に登録されていて、渓谷沿いに削られた岩山などが続くエリア。ここは渓流が9回湾曲を繰り返すという絶景が続く「九曲渓」や、400mを超える岩に880段の石段が刻まれたとい天遊峰など、景勝地が多いというのが特徴。
敷地内は温帯樹林や熱帯雨林が広がり、生物多様性が保存されています。古くからの中国の固有種がそのまま生息していて、爬虫類や両生類、昆虫などの種類が非常に豊富。
武夷山はどんな理由で世界遺産に登録されているの?
武夷山が評価されたのが、以下の点。
登録基準(iii)
武夷山は、漢の時代に建造された都市遺跡や11世紀以降の朱子学の誕生に関する施設など、美しい自然の中に重要な遺跡が多く残るという点。
登録基準(vi)
武夷山は、何世紀にも渡って東アジアや東南アジアの国々で採用され、哲学や政治に影響を与えた朱子学の発祥の地であるということ。
登録基準(vii)
武夷山は、渓谷が曲がりくねった絶景である九曲渓などを代表に赤い砂岩の断崖や岩山などが並ぶ、風光明媚な景観が眺められるという点。
登録基準(x)
武夷山が登録されたエリアは、熱帯雨林などの多様性が秀逸で、古くから生息する固有種も見られ、爬虫類や両生類、昆虫の種類が豊富であるということ。
世界遺産マニアの結論と感想
武夷山は、九曲渓を代表とした、入り組んだ渓谷などの絶景が続き、手つかずの自然が広がることで貴重な動植物が見られるという点で評価されています。そして、ここは古くから人々が住み、江戸時代に幕府の運営において基幹となった朱子学の発祥の地であるということもポイント。
ちなみに、武夷山周辺はチャノキが自生しているという地でもあり、ここで栽培される茶葉で作る烏龍茶は中国でも屈指の人気を誇ります。「武夷岩茶」は中国十代銘茶の一つにされるほどに評価が高いもの。
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。