ギリシャの世界遺産「ミストラスの考古遺跡」とは?世界遺産マニアが解説

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登録区分文化遺産
登録基準(2), (3), (4)
登録年1989年

ギリシャ南西部のペロポネソス半島の内陸部にあるミストラス。ここは1249年に十字軍によって建国されたアカイア公国のギヨーム2世・ド・ヴィルアルドゥアンによって丘の上に要塞が設立されたことが始まり。その後、ビザンツ帝国が再興すると、デスポテート(領主)たちによって無数の聖堂や修道院が築かれたものの、19世紀に破壊されたため、現在は遺跡として残っています。

ここではミストラスの考古遺跡がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、ミストラスについて詳しくなること間違いなし!

目次

ミストラスの考古遺跡とは?

ミストラスの考古遺跡
画像素材:shutterstock

ペロポネソス半島の南東に位置するミストラスは、かつて古代ギリシャの都市国家であったスパルタの近くに位置する都市。ここはアカイア公国(1205〜1432年)の第4代君主ギヨーム2世・ド・ヴィルアルドゥアン(1211年頃〜 1278年)によって、標高620mの丘の上に要塞を建造されたことがきっかけで設立されました。

その後、ビザンツ帝国が再興するとモレアス専制公領(1349〜1460年)の中心地となり、デスポテート(領主)たちはこぞって豪華な聖堂や修道院が建設し、帝国の文化の中心地として発展。しかし、19世紀にオスマン帝国軍の攻撃によって破壊されると、現在は当時の遺構が残る考古遺跡となっています。

ミストラスの考古遺跡
画像素材:shutterstock

ミストラスは当時のスパルタから司教座が移され、都市としての機能もこちらに移りました。山城として要塞が築かれた「上の街」には、上流階級が暮らした宮殿や住居などが残り、「下の街」には修道院や聖堂が点在します。

上の街にあるデスポテート(領主)の宮殿の右翼館はヴィルアルドゥアンの時代のもので、西欧のゴシック様式が見られるのに対し、左翼館はビザンツ帝国のパレオロゴス朝ルネサンス時代であったりと、さまざまな建築様式が見られます。15世紀建造の「パンダナサ修道院聖堂」はビザンツ様式とゴシック様式が混在した聖堂もあります。

下の街では、聖堂が多く見られ、「オディギトリア聖堂(アフェンディコ聖堂)」は、ギリシャ十字形の三廊式聖堂でミストラス独自の5つの円蓋(ドーム)を持つもの。

ミストラスの考古遺跡はどんな理由で世界遺産に登録されているの?

ミストラスの考古遺跡
画像素材:shutterstock

ミストラスが評価されたのが、以下の点。

登録基準(ii)
ミストラスは、パレオロゴス朝ルネサンスが花開いた都市で、絵画などはコンスタンティノープルの芸術と組み合わせて、クレタ派の絵画を含めて当時のギリシャ全体で発展した芸術、そして後期ビザンツ帝国の美術に影響を与えています。他にもミストラスは新プラトン主義の哲学者ゲオルギオス・ゲミストス・プレトンを輩出し、彼はプラトンの哲学の解釈を含めて古代ギリシャの文書の研究をして、これは後の時代に西欧で始まるルネサンスに貢献するものであったという点。

登録基準(iii)
ミストラスはビザンツ帝国の都市の中でも独自のもので、ビザンツ帝国後期の繁栄した都市社会が見られます。ビザンツ国家の地方政権の行政における中心地で、独自の文化や芸術が花開いたということ。

登録基準(iv)
ミストラスは、丘の上と下の2つの地域を含めてよく保存されたビザンツ後期の要塞都市の例であります。教会の建築様式はさまざまな建築様式が採用されていてますが、ギリシャ十字形に3つの側廊と5つの円蓋を持つというミストラス独自の折衷様式が見られるのが特徴。ここには当時のものとしては数少ない壮麗な宮殿、邸宅、教会、修道院、給水・排水施設、商業や工芸などにまつわる建築物が含まれていて、ビザンツ帝国後期の生活基準が非常に高かったことを示すという点。

世界遺産マニアの結論と感想

ミストラスは現在は遺構となっていますが、ビザンツ帝国後期の都市生活がよく分かるもの。ここでは独自の美術や文化が発展し、教会建築は独自の様式が見られ、特に絵画はギリシャだけでなく、帝国全体に影響を与えたという点で評価されます。そして、古代ギリシャの思想であるプラトン主義の研究は、西ヨーロッパにおけるルネサンスに貢献していったというのもポイント。

ちなみに、ミストラスの近くにはスパルティと呼ばれる都市があり、これこそが古代ギリシャ都市のスパルタがあった場所ではありますが、現在のスパルティはミストラスが滅んだ19世紀以降に築かれたので、名前は古いものの、割と新しい都市でもあります。

※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。

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この記事を書いた人

世界遺産一筋20年以上!遺跡を求めて世界を縦横無尽で駆け抜ける、生粋の世界遺産マニアです。そんな「世界遺産マニア」が運営するこちらのサイトは1100以上もある遺産の徹底紹介からおもしろネタまで語り尽くすサイト。世界遺産検定一級取得済。

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