ミクロネシアの世界遺産「ナンマトル(ナンマドール遺跡):東ミクロネシアの祭祀センター」とは?その謎を世界遺産マニアが解説

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登録区分文化遺産(危機遺産2016年〜)
登録基準(1), (3), (4), (6)
登録年2016年

ナンマトルはミクロネシアのポンペイ島の海岸沖に建造された100もの人工島のことを指します。ここは1200〜1500年ころに建造され、それぞれの島には宮殿や神殿、住宅などがあり、この地で繁栄したシャウテレウル朝の文化が見られるもの。しかし、泥の堆積やマングローブの繁茂によって、遺跡は危機遺産リストに登録。

ここではナンマトル(ナンマドール遺跡)がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、ナンマトルについて詳しくなること間違いなし!

目次

ナンマトル(ナンマドール遺跡)とは?その謎は?

ナンマトル(ナンマドール遺跡)
画像素材:shutterstock

ミクロネシアは大西洋の西側に600を超える島で構成される国家。ナンマトルのあるポンペイ島はミクロネシア最大の島です。島の東に浮かぶテムウェン島の東海岸に、約1200〜1500年に築かれた100もの人工島があり、それぞれ宮殿や神殿、霊廟、邸宅などで構成されています。

これはシャウテレウルと呼ばれる支配階級によって建造されたもの。「シャウテレウル」とは、ナンマトルの周囲を支配する首長のような存在から由来するもの。この時代に太平洋諸島の文化が花開き、ここでは歴代シャウテレウルと、神殿で祈祷を行う司祭者が暮らす場でもありました。

ナンマトル(ナンマドール遺跡)
画像素材:shutterstock

ナンマトルは、北東部と南西部で二分されていて、北東部の「上マトル」は司祭者が暮らし、歴代のシャウテレウルの霊廟が作られました。そして、南西部の「下マトル」はシャウテレウルの住居や寺院などが設置。その施設の規模はミクロネシア最大であると同時にオセアニアでも最大とされています。しかし、石材の重さは一つ5〜25トンもあるとされ、伝説では魔法によって運ばれたとされますが、これを島民たちがどのように運んだかは今でも不明。

危機遺産(危機にさらされている世界遺産)

ナンマトルは、島と島の間に水路に泥が溜まりつつ、さらに島にはマングローブが繁茂していることで、遺跡が崩壊する可能性もあり、2016年に登録と同時に危機遺産リストに登録されています。

ナンマトル(ナンマドール遺跡):東ミクロネシアの祭祀センターはどんな理由で世界遺産に登録されているの?

ナンマトル(ナンマドール遺跡)
画像素材:shutterstock

ナンマトルが評価されたのが、以下の点。

登録基準(i)
ナンマトルは、巨大な玄武岩を島の採石場から運び、独自の技術によって築かれた巨大建築物であるという点。

登録基準(iii)
人工島が集まったナンマトルには島の複雑な社会の構造や宗教的儀式が見られ、太平洋諸島の首長制社会の発展の証拠を残しているということ。

登録基準(iv)
ナンマトルは古くからさまざまな設備が築かれ、それらは人口増加や豊作を求めて儀式が行われた宗教施設としての優れた例でもあったという点。

登録基準(vi)
ナンマトルを含むエリアの首長は現在でも存在し、ナンマトルで発展した太平洋諸島の伝統的な首長制度や社会構造が今でも残っているということ。

世界遺産マニアの結論と感想

ナンマトルは、100もの人工島が築かれ、その石の加工技術が優れていたということだけではなく、儀式を行う宗教施設を持つ、太平洋諸島における首長社会の発展が見られるという点で評価。そして、その文化や制度が現在でも息づいているというのもポイント。

ちなみに、ミクロネシア連邦は戦前は日本の委任統治領となっていたため、日本人が多く住んでいました。戦後はアメリカの信託統治後に、独立したものの、今でも日系人が住民の2割ほどを占めていて、初代大統領も日系人であったというほど。

※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。

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この記事を書いた人

世界遺産一筋20年以上!遺跡を求めて世界を縦横無尽で駆け抜ける、生粋の世界遺産マニアです。そんな「世界遺産マニア」が運営するこちらのサイトは1100以上もある遺産の徹底紹介からおもしろネタまで語り尽くすサイト。世界遺産検定一級取得済。

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