タンザニアの世界遺産「ンゴロンゴロ保全地域(国立公園)」とは?世界遺産マニアが解説

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登録区分複合遺産
登録基準(4), (7), (8), (9), (10)
登録年1979年

タンザニア北部の自然保護区であるンゴロンゴロ保全地域は、広大なクレーターに絶滅の危機に瀕している野生動物が多く生息しているエリア。大型動物が2万5000頭も生息していることから「世界の動物園」と呼ばれています。そして、公園内には360万年前のアウストラロピテクスの足跡なども残ることから複合遺産としても評価。

ここでは、ンゴロンゴロ保全地域がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、ンゴロンゴロ保全地域について詳しくなること間違いなし!

目次

ンゴロンゴロ保全地域(国立公園)とは?

ンゴロンゴロ保全地域(国立公園)
画像素材:shutterstock

ンゴロンゴロ保全地域は、サバンナや沼地、アカシアの森などが広がる、広大な公園。保全地域は、世界最大のカルデラであるクレーターと約40kmの長さを誇るオルドヴァイ渓谷が含まれています。このクレーター内は、かつてマサイ族が放牧を行っており、自然と共存していました。

ここには多くの動物が生息しており、中にはクロサイなど、絶滅危惧種も含まれています。そして、アフリカで最も密度の高いライオンの個体数を誇るなど、「世界の動物園」として世界中で知られる保護区に。

ンゴロンゴロクレーター

ライオン/ンゴロンゴロ保全地域(国立公園)
画像素材:shutterstock

ンゴロンゴロとは、マサイ語で「大きな穴」という意味。クレーターという名称ではありますが、隕石によって作られたものではなく、火山噴火によって形成された約300kmの巨大なカルデラ地帯となっています。その外輪山(カルデラの縁の部分)は標高2300m〜2400mで、底部の標高は1800m。

カルデラ内は乾季になっても水が残るため、植物にとっては生息しやすい環境になっています。それは動物でも同じで、ヒョウやアフリカゾウ、ヌー、フラミンゴ、シマウマ、水牛など多種多様な動物が生息します。そして、絶滅危惧種のクロサイも生息していることで有名。

そして、高いジャンプができることで知られるマサイ族がここで放牧を行ってきましたが、1975年にクレーター内での放牧は禁止に。現在はクレーターの外で放牧は行っているものの、彼らは密猟などからクレーターを守るという立場でいるため、あえて国立公園にはせずに保全地帯にしています。

オルドヴァイ渓谷

オルヴァイ渓谷/ンゴロンゴロ保全地域(国立公園)
画像素材:shutterstock

2010年に追加で登録されたエリア。渓谷は約40kmにも及び、崖からは約400万年から近世までの化石や石器などが発見されています。発見された化石人骨はアウストラロピテクスからホモ・ハビリスやホモ・エレクトスなど、有名なものばかり。そして、約180万年前の旧石器時代の石器なども発見されていて、アフリカでも初期の旧石器文化であると考えており、人類の進化においても大きな足跡を残している遺跡です。

ンゴロンゴロ保全地域(国立公園)はどんな理由で世界遺産に登録されているの?

シマウマ/ンゴロンゴロ保全地域(国立公園)
画像素材:shutterstock

ンゴロンゴロ保全地域が評価されたのが、以下の点。

登録基準(iv)
アウストラロピテクスの化石人骨の発見や旧石器時代の石器など、オルドヴァイ渓谷には、人類の進化の過程が見られるということ。

登録基準(vii)
ンゴロンゴロクレーターの見事な景観とクレーター内を巡る野生動物たちの姿は、地球上でも数少ない美しい風景の一つであるという点。

登録基準(viii)
ンゴロンゴロクレーターは、世界最大のカルデラで、東アフリカ大地溝帯の一部であるということ。

登録基準(ix)
「世界の動物園」と言われているほどに、多種多様な生態系がこの地で確認されており、世界でもほぼここだけしか見られない生態系であるという点。

登録基準(x)
ここには2万5000頭もの大型動物が生息しており、クロサイやゴールデンキャットなど絶滅危惧種も見られるという点。

世界遺産マニアの結論と感想

とにかく、複合遺産としてボリュームたっぷりの遺産ですが、もともとはンゴロンゴロクレーターだけが登録されていました。ンゴロンゴロクレーターは世界最大のカルデラであり、その豊かな土壌は多くの動物にとって理想的な住処になっているという点。そして、2010年にはオルドヴァイ渓谷も登録され、人類の進化の過程も見られるというのも評価のポイントです。

マサイ族は、サバンナで生活をするために視力10を越える猛者もいることで有名ですが、最近は都市に住むマサイ族も増えてきてPCやスマホを見るようになると、一般人と同じ視力になってしまったというのは有名な話。彼らはここで危険な動物から守るために、遠くを眺める力を鍛えているだけであって、彼らの視力は実は努力でカバーしていた…という可能性が分かるなど、ある意味での「人類の進化」を見ることもできます。

※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。

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この記事を書いた人

世界遺産一筋20年以上!遺跡を求めて世界を縦横無尽で駆け抜ける、生粋の世界遺産マニアです。そんな「世界遺産マニア」が運営するこちらのサイトは1100以上もある遺産の徹底紹介からおもしろネタまで語り尽くすサイト。世界遺産検定一級取得済。

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