登録区分 | 文化遺産 |
登録基準 | (2) |
登録年 | 2021年 |
北イタリアにあるパドヴァには、美しいフレスコ画が残っています。14世紀に8つのキリスト教関連の建築物に描かれたフレスコ画は、壁画の歴史において革命をもたらしました。特にルネサンスの先駆け的存在であるジョットによるスクロヴェーニ礼拝堂は西洋美術史における傑作でもあります。
ここではパドウァ・ウルブス・ピクタ:ジョットのスクロヴェーニ礼拝堂とパドヴァの14世紀フレスコ画作品群がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、パドウァ・ウルブス・ピクタについて詳しくなること間違いなし!
パドウァ・ウルブス・ピクタ:ジョットのスクロヴェーニ礼拝堂とパドヴァの14世紀フレスコ画作品群とは?
パドヴァはヴェネト州の中央部に位置し、ヴェネツィアから西へ約40kmの距離にある都市。イタリア最古の都市とされるほどに古い歴史を持ち、中世になると大学が築かれるほどに繁栄した都市国家になりました。
14世紀になると、現在の旧市街の宮殿や大聖堂、礼拝堂などのキリスト教関連施設には、ルネサンスの先駆け的な存在であるジョットをはじめとするさまざまな芸術家によってフレスコ画が描かれました。これらは4つのグループに分けられ、8つの建築物から構成されています。
フレスコ画は当時のパトロンだった貴族たちが権力を示すために芸術家たちに依頼したものでもあります。そして、パドヴァので制作されたものはフレスコ画の技術が飛躍的に進歩した時期の作品群であり、遠近法やトロンプ・ルイユ(錯覚を起こす技法)など、空間表現の技術の向上を示すものでした。
スクロヴェーニ礼拝堂
旧市街の北部にある礼拝堂。もともとは古代ローマの競技場跡に建造された礼拝堂で、高利貸しで繁栄した一族出身のエンリコ・デッリ・スクロヴェーニにより築かれました。1305年にフィレンツェ出身のジョット・ディ・ボンドーネによって完成したフレスコ画は礼拝堂の壁一面にイエス・キリストと聖母マリアの生涯をテーマに描いたもの。有名な「ユダの接吻(写真)」や「最後の審判」など聖書の名場面も描かれていて、西洋の芸術史において重要な作品でもあります。
パドウァ・ウルブス・ピクタ:ジョットのスクロヴェーニ礼拝堂とパドヴァの14世紀フレスコ画作品群はどんな理由で世界遺産に登録されているの?
パドウァ・ウルブス・ピクタが評価されたのが、以下の点。
登録基準(ii)
作品を依頼するパトロンだったパドヴァの貴族たちはイタリア各都市から著名な芸術家を呼び、その発想や技法などが合わさることで、新たな様式を確立。そして、イタリアのルネッサンス以降も続く、遠近法によるフレスコ画の基礎を形成したという点。
世界遺産マニアの結論と感想
14世紀になると都市国家として繁栄したパドヴァの貴族たちはイタリア各地から芸術家を呼び出し、美しいフレスコ画の建造物を作り出すと、それが新たなる芸術様式を確立して、ルネサンスにつながったという点で評価されています。
ちなみに、スクロヴェーニ礼拝のフレスコ画に、パトロンであったエンリコも描かれています。当時は高利貸しは罪深い仕事とされていたために、こうして礼拝堂などに描かれると贖罪になったと信じていたという説も。もしくは「自分大好き」という側面もあったかもしれませんが、真実は分かりません…。
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。