メキシコの世界遺産「サン・ミゲルの要塞都市とヘスス・ナサレノ・デ・アトトニルコの聖地」とは?世界遺産マニアが解説

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登録区分文化遺産
登録基準(2), (4)
登録年2008年

メキシコ中央部にある要塞都市サン・ミゲル・デ・アジェンデ」は、メキシコ・シティかららアメリカ合衆国南部を結ぶ「内陸部の王の道」を保護するために16世紀に設立。現在残る建造物は18世紀のメキシコ・バロック様式で作られたもの。中心部から14km北にあるヘスス・ナサレノ・デ・アトトニルコは聖地となっていて、教会や礼拝堂にある壁画はメキシコ・バロック様式の傑作でもあります。

ここではサン・ミゲルの要塞都市とヘスス・ナサレノ・デ・アトトニルコの聖地がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、サン・ミゲルとヘスス・ナサレノ・デ・アトトニルコについて詳しくなること間違いなし!

目次

サン・ミゲルの要塞都市とヘスス・ナサレノ・デ・アトトニルコの聖地とは?

サン・ミゲルの要塞都市

サン・ミゲルの要塞都市
画像素材:shutterstock

メキシコ中央にあるグアナフアト州のサン・ミゲル・デ・アジェンデの歴史地区が世界遺産に登録。ここは16世紀にメキシコ・シティからアメリカ合衆国南部を結ぶ「内陸部の王の道(カミノ・レアル・デ・ティエラ・アデントロ)」というルートを防衛するために、メキシコ副王によって設立されました。1826年にサン・ミゲル出身でメキシコ独立革命の英雄イグナシオ・アジェンデにあやかって改名されたもの。ここはスペイン人の入植を進めたために、先住民の文化が混じり合い、文化や商業、軍事ともに重要な都市となりました。

18世紀には、宮殿や大聖堂、邸宅などが設立され、メキシコ・バロック様式の建造物が今でも多く並んでいます。そして、19世紀後半の新古典主義様式の建造物なども並び、町はバロック建築から新古典主義様式の移行期が見られるというのが特徴。

ヘスス・ナサレノ・デ・アトトニルコの聖地

ヘスス・ナサレノ・デ・アトトニルコの聖地
画像素材:shutterstock

アトトニルコは、サン・ミゲルの北へ約14kmに位置する小さな町。ヘスス・ナサレノ・デ・アトトニルコとは、「アトトニルコのナザレのイエス」という意味で、ここはイエス・キリストの幻影を見た神父がこの地で設立したことが始まりであるという伝説が由来。18世紀になると教会が多く築かれ、その中でも身廊や礼拝堂はメキシコ・バロックの壁画が多く見られることから、「メキシコのシスティーナ礼拝堂」と呼ばれるほど。

ここは巡礼地となっていて、イエズス会の創立者であるイグナチオ・デ・ロヨラ(1491〜1556年)の教義を反映した建造物や装飾が見られるのが特徴。聖地であるために鞭打ちや断食を通じて肉体的な苦行を含む修行の場ともなっています。

サン・ミゲルの要塞都市とヘスス・ナサレノ・デ・アトトニルコの聖地はどんな理由で世界遺産に登録されているの?

サン・ミゲルの要塞都市
画像素材:shutterstock

サン・ミゲルとヘスス・ナサレノ・デ・アトトニルコが評価されたのが、以下の点。

登録基準(ii)
サン・ミゲル・デ・アジェンデは、スペイン人、クリオーリョ(新大陸生まれのヨーロッパ人)、先住民たちによるそれぞれの文化的影響が見られ、それが建造物に反映されていて、人間の価値観の交換が見られるもの。ヘスス・ナサレノ・デ・アトトニルコの聖地はヨーロッパとラテンアメリカの文化交流が見られ、建築物の配置や装飾はイグナチオ・デ・ロヨラの教義をこの地域に適応させたことを示しているという点。

登録基準(iv)
サン・ミゲル・デ・アジェンデは、16世紀の都市計画に基づいていて、さまざまな建築様式が融合し、宗教や世俗的建築物がは都市景観にうまく統合され、発展してきたもの。都市の邸宅はラテンアメリカの中規模の町にしてはかなり大きいというのが特徴。ヘスス・ナサレノ・デ・アトトニルコの聖地はメキシコのバロック様式の傑作となる装飾が施されているということ。

世界遺産マニアの結論と感想

サン・ミゲル・デ・アジェンデは、スペイン人や先住民などによって交流したことでさまざまな建築様式が融合し、それが建築物にも反映。ヘスス・ナサレノ・デ・アトトニルコの聖地は、イエズス会のイグナチオ・デ・ロヨラの教義を実現した建築と装飾が見られ、メキシコ・バロックの傑作である壁画が見られるという点で評価されています。

ちなみに、サン・ミゲルは「聖ミカエル」のスペイン語で、世界的に「サン・ミゲル」というと地名よりは、フィリピンで最も人気のあるビールの銘柄「サン・ミゲル」のほうが知名度があるというのが現状。

※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。

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この記事を書いた人

世界遺産一筋20年以上!遺跡を求めて世界を縦横無尽で駆け抜ける、生粋の世界遺産マニアです。そんな「世界遺産マニア」が運営するこちらのサイトは1100以上もある遺産の徹底紹介からおもしろネタまで語り尽くすサイト。世界遺産検定一級取得済。

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