登録区分 | 文化遺産 |
登録基準 | (1), (3), (4) |
登録年 | 1985年 |
セゴビアは首都マドリードから日帰りで行ける距離にある要塞都市。ここは紀元前1世紀に建造されたローマ時代の水道橋が現在でも当時の状態を残しつつ存在しています。そして、11〜12世紀に築かれたスペイン王宮であったアルカサル、16世紀に建設が開始されたゴシック様式のセゴビア大聖堂なども登録。
ここでは、セゴビア旧市街と水道橋がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、セゴビア旧市街と水道橋について詳しくなること間違いなし!
セゴビア旧市街と水道橋とは?大聖堂も含まれる?
セゴビアは、スペイン中央部のカスティーリャ・イ・レオン州にある要塞都市で、首都マドリードから北東へ約90kmの距離。エレスマ川とクラモレス川の間に位置していて、交通の要所でもありました。
ここには古くから人々が住み始め、おそらく最初に住んだのはケルト人とされています。その後、1世紀の帝政ローマ時代には水道橋が建設。やがてキリスト教徒やユダヤ教徒、イスラム教徒が共存する街となります。11世紀にはカスティーリャ王国時代にここを司教座を創設すると、キリスト教徒が住むようになり、街は羊毛や毛織物の交易で栄えました。12世紀にはカスティーリャ王国のアルカサル(王宮)が建造。
16世紀が最盛期で、その頃にゴシック様式のセゴビア大聖堂(司教座)の建造が始まり、完成まで200年以上もかかりました。そして、街は工業都市として計画されるものの、失敗に終わり、現在はのんびりとした地方都市となっています。
登録されている主な構成資産
セゴビア水道橋
紀元前80年にセゴビアを制圧した共和制ローマによって、紀元前50年頃に建造されたもの。丘の上に街が位置するため、高い位置から水を給水する必要がありました。これは2層のアーチを持つ128本の柱で構成され、全長813m、最高点は28.5mの巨大な水道橋。スペインの中でも保存状態が良い水道橋で、ローマ人の土木工学技術の高さが伺えるもの。
その後、イスラム教徒によって一部破壊されてしまいますが、カスティーリャ王国の女王イサベル1世によって15世紀ころに修復。現在見られる水道橋はこの時代のもの。
アルカサル(王宮)
旧市街の西北に位置する城。ケルト人が住み始めたころは丘の上に要塞が立っていましたが、ローマ帝国によって破壊。その後、イスラム教徒によって土台が築かれたとされますが、11〜12世紀にカスティーリャ王国がこの地を支配するようになると、アルフォンソ6世によって城が建造されています。
その時代のアルカサルは木造の砦でしかありませんでしたが、12〜13世紀のアルフォンソ8世の時代になると王宮として利用されるように。その後、増築が進み、15世紀にはイサベル1世がここで即位するほどに重要な地となりました。何度か改修され、現在の姿になったのは、19世紀頃。ディズニー映画の『白雪姫』に登場する城のモチーフとなったということで有名です。
セゴビア大聖堂(司教座)
16世紀に当時の皇帝カルロス1世によってゴシック様式で建造が始まり、200年以上の歳月をかけて18世紀に完成した大聖堂。17世紀に建造された鐘楼は88mで、かつてはスペインで最も高い塔であった時期も。内部には彫刻家ファン・デ・フニが16世紀に作った『悲しみの聖母』など、芸術品も多く飾られています。
セゴビア旧市街と水道橋はどんな理由で世界遺産に登録されているの?
セゴビア旧市街と水道橋が評価されたのが、以下の点。
登録基準(i)
セゴビアの旧市街は、水道橋やアルカサル、大聖堂など、歴史も深く、美しい建造物で構成されているという点。
登録基準(iii)
セゴビアの旧市街に残る区画と建築物は、さまざまな文化が混じり、その複雑な歴史を示しているということ。
登録基準(iv)
セゴビアは、多様な文化を取り入れた都市で、それぞれの建築様式を取り入れ、独自の建造物が多く造られていったという点。
世界遺産マニアの結論と感想
セゴビアは、ケルト、ローマ、イスラム教、ユダヤ教、キリスト教と支配者が変わる度に、それぞれの建築様式が採用され、それらの時代に建造されたものが旧市街には見られるという点で評価されています。
ちなみに、ディズニー映画の『白雪姫』に登場する城は、一応アルカサルがメインモチーフになっているとされていますが、他にもドイツのノイシュヴァンシュタイン城などを合わせているという説もあり…言われてみれば、ノイシュヴァンシュタイン城にも似ているようにも見えたりします。
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。