スイスの世界遺産「ミュスタイアのベネディクト会聖ヨハネ修道院」とは?世界遺産マニアが解説

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登録区分文化遺産
登録基準(3)
登録年1983年

スイス東部のミュスタイアの谷には、カロリング朝時代(751〜987年)に建造されたベネディクト会の修道院があり、ここは2つの側廊と石造りの尖塔型の穹窿(きゅうりゅう)を持つ後期ゴシック様式の傑作。内部のフレスコ画はスイスでも最大規模のものとなっています。

ここではミュスタイアのベネディクト会聖ヨハネ修道院がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、ベネディクト会聖ヨハネ修道院について詳しくなること間違いなし!

目次

ミュスタイアのベネディクト会聖ヨハネ修道院とは?

ミュスタイアのベネディクト会聖ヨハネ修道院
画像素材:shutterstock

ミュスタイアは、スイス南東部のグラウビュンデン州にあり、イタリアとの国境のすぐそばに位置する集落。ここはアルプス山脈南部の険しい斜面に位置していて、8世紀にカール大帝によって設立されたという伝承があります。9世紀にはヨーロッパで広く普及した修道会・ベネディクト会の施設となり、12世紀以降は女子修道会となりました。

建設当初は、木組みの天井に広い身廊を持つものでしたが、15世紀になると2つの側廊と石造りの尖塔型の穹窿を持つ後期ゴシック様式の建造物となりました。内壁は、9世紀初頭に遡るフレスコ画で覆い尽くされています。さらに20世紀の修復作業中に12世紀のロマネスク様式のフレスコも発見。これらのフレスコ画は『旧約聖書』や『新約聖書』がテーマとなっていて「最後の審判」の場面など、キリスト教の図像テーマの発展などが分かるというのも特徴です。ここは1200年以上に渡るヨーロッパの建築の歴史とともに、政治と経済の変化も示すもの。

ミュスタイアのベネディクト会聖ヨハネ修道院はどんな理由で世界遺産に登録されているの?

ミュスタイアのベネディクト会聖ヨハネ修道院
画像素材:shutterstock

ベネディクト会聖ヨハネ修道院が評価されたのが、以下の点。

登録基準(iii)
ベネディクト会聖ヨハネ修道院は、9世紀前半のフレスコ画が残っていて、カロリング朝や中世後半に発展した建築作品の一つ。ここに残るカロリング朝時代の壁画はキリスト教における図像テーマの発展などを理解するという点において重要であるという点。

世界遺産マニアの結論と感想

ミュスタイアに残るベネディクト会のヨハネ修道院の内部はカロリング朝を含む中世のフレスコ画が多く残っていて、これらはキリスト教の宗教画における図像テーマの発展などが見られるという点で評価されています。

ちなみに、グラウビュンデン州はスイスでも第4の国語として認められている「ロマンシュ語」を話す人々が多いエリア。ロマンシュ語は、イタリア語に近いものの、語彙などはフランス語などと共通。しかし、ドイツ語圏との接触が増えていくと、20世紀には徐々に話者が減っていき、現在では消滅の可能性がある言葉の一つとなっています。

※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。

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この記事を書いた人

世界遺産一筋20年以上!遺跡を求めて世界を縦横無尽で駆け抜ける、生粋の世界遺産マニアです。そんな「世界遺産マニア」が運営するこちらのサイトは1100以上もある遺産の徹底紹介からおもしろネタまで語り尽くすサイト。世界遺産検定一級取得済。

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