登録区分 | 自然遺産 |
登録基準 | (7), (8), (9), (10) |
登録年 | 1983年(1990年拡大) |
コスタリカとパナマの国境にあるタラマンカ山脈には、標高3820mの氷河で覆われたチリポ山があり、高地から低地に広がる熱帯雨林という高低差のある多様な地形が広がっています。ここは熱帯低地林から雲霧林など8つの植生帯があり、北アメリカと南アメリカの動植物が見られるのが特徴で、ピューマやジャガーなどの大型の哺乳類が生息。
ここではタラマンカ山脈=ラ・アミスター保護区群とラ・アミスター国立公園がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、タラマンカ山脈について詳しくなること間違いなし!
タラマンカ山脈=ラ・アミスター保護区群とラ・アミスター国立公園とは?
コスタリカとパナマの国境沿いに広がるタラマンカ山脈。ここは標高3820mの氷河で覆われたチリポ山を中心に標高3000mを越える山々が並び、中央アメリカでも最も標高が高い場所でもあります。1983年のラ・アミスター(タラマンカ)国立公園を含めたコスタリカ側のラ・アミスター保護区群が登録されると、1990年にパナマ側のラ・アミスター国立公園も登録。ここには考古学遺跡が残り、何千年にも渡って人類が居住してきた土地で、今でも国境の両側には先住民も住んでいます。
タラマンカ山脈は山々や丘陵が広がり、氷河が形成された湖や渓谷など、氷河によって形成された地形も含まれています。ここは北アメリカと南アメリカの両方の動植物が見られ、熱帯低地林、雲霧林、山地林、オークの混交林など、8つの植生帯が存在するのが特徴。人類未踏の地が存在するほどに開発がされなかったため、山岳生態系がそのまま残され、独自の進化を遂げた固有種が見られます。約10,000種もの顕花植物や、ピューマやジャガーのネコ科を含めた215種の哺乳類、約600種の鳥類、約250種の爬虫類と両生類、115種の淡水魚が生息。
タラマンカ山脈=ラ・アミスター保護区群とラ・アミスター国立公園はどんな理由で世界遺産に登録されているの?
タラマンカ山脈が評価されたのが、以下の点。
登録基準(vii)
タラマンカ山脈は険しい山の景観の中に広大な森林で覆われたエリアで、標高の高い高地草原も見られ、氷河によるカール(圏谷)、渓谷、氷河湖などの景観が広がるもの。ここには無数の川や小川が点在し、壮大な滝も見られ、この地のシンボル的な存在であるということ。
登録基準(viii)
タラマンカ山脈は、北アメリカと南アメリカを結ぶ地であり、太平洋とカリブ海の間の地峡に位置しているため、中央アメリカの他の地域では見られない氷河によるカール(圏谷)やU字型の渓谷などが存在するという点。
登録基準(ix)
タラマンカ山脈は陸の架け橋のような存在で、北アメリカと南アメリカの動植物が見られる場所。ここは境界線のような役割もあり、さまざまな自然環境が存在することから、複雑な生態系が見られる地であり、広葉樹の森、熱帯雨林、雲霧林、沼地、草原などの地形が広がり、固有種が非常に豊富。生物は進化の過程で種分化し、多くの固有種は狭い山脈で暮らしていて、ここは生態学としてはまるで「島」のように例えられるということ。
登録基準(x)
タラマンカ山脈は、非常に固有性が高く、動植物とも多くの場合、固有種が3分の1を越えるという生物多様性が見られます。約10,000の顕花植物と4000を越える非維管束植物、約1000種のシダ種、約900種の地衣類が生息。中央アメリカで見られるすべてのネコ科、絶滅危惧種のオーネイト・スパイダー・モンキーやベアードバク、セアカリスザルなどのを含めた215種の哺乳類、ケツァールなどを含めた約600種の鳥類、約250種の爬虫類と両生類、115種の淡水魚が見られます。特に両生類は、ヤドクガエルなどの絶滅危惧種も含まれているという点。
世界遺産マニアの結論と感想
タラマンカ山脈は、北アメリカと南アメリカを繋ぐ地峡にあるため、中央アメリカ最高峰であるために氷河地形が見られ、さまざまな植生帯が存在するほどに自然環境が多様。それぞれのエリアで生物は独自に進化し、固有種や絶滅危惧種も生息するという点で評価されています。
ちなみに、晴天の日にチリポ山に登れば、山頂から太平洋とカリブ海という2つの海が一望できるという世界でもなかなか見られない絶景が楽しめるのです。
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。