登録区分 | 文化遺産 |
登録基準 | (4), (5) |
登録年 | 1996年 |
ジョージア北西部にあるスヴァネティ地方は、コーカサス山脈の山間部に古くから住むスヴァン人によって築かれた防御塔が並ぶ村々が点在します。特に標高2410mの上スヴァネティに位置するウシュグリ村は、200もの伝統的な家屋が残っていて、防御塔を備えた邸宅が見られるのが特徴。
ここでは上スヴァネティがなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、上スヴァネティについて詳しくなること間違いなし!
上スヴァネティとは?
ロシアとの国境でもあるコーカサス山脈南部に位置するスヴァネティは、ジョージアでも最高峰のシュハラ山(標高5201m)を含む4000〜5000m級の山が連なる高山地帯。スヴァネティは、上スヴァネティと下スヴァネティに二分されていて、イングリ川の上流に位置するのが上スヴァネティと呼ばれるエリア。ここは夏でも雪を冠した高山の麓に小さな聖堂と防御塔が林立する集落が点在するという景観が広がっています。
世界遺産としてはイングリ川の上流に位置するウシュグリ村とその周辺の村々。ここには古くからスヴァン人と呼ばれる南コーカサス語族に属する人々が住む土地で、彼らの伝統的な邸宅と建築物が今でも並んでいます。村は標高2410mに位置し、ヨーロッパでも最も標高の高い村としても有名。聖堂の壁画はジョージアのルネサンス時代の絵画の中でも傑作とされるもの。
ウシュグリ村には200を超える防御塔を持つ邸宅が残され、これは先史時代にも遡るほどで、古来より周辺の部族との争いが多かったことから要塞化されたというのが理由。これらは通常3〜5階建ててで、上階に行けば行くほど壁の厚さが薄くなり、外郭も細くなっていくという構造。1階は暖炉を備えた居住空間と家畜小屋になっていて、上階は夏の間は居住区間となり、資料や道具の保管庫にもなっていました。
上スヴァネティはどんな理由で世界遺産に登録されているの?
上スヴァネティが評価されたのが、以下の点。
登録基準(iv)
上スヴァネティは、防御塔を持つ邸宅や聖堂、中世に起源を持つ芸術作品が残された村々で構成された、山岳風景の優れた例であるという点。
登録基準(v)
上スヴァネティは、伝統的な人間の居住地と土地利用が見られ、中世の景観を見事に保存しているということ。
世界遺産マニアの結論と感想
上スヴェネティは、古くからスヴァン人が暮らす地で、ここは周囲の部族から防衛するために防御塔を持つ邸宅が築かれ、他にも聖堂など、中世からの景観がそのまま残り、これは伝統的な人間の土地利用が見られるという点で評価されています。
ちなみに、スイスの山間の村々こそが最も標高が高いと思われがちですが、実はスイスで一番標高の高いユーフの村でも標高2126mとウシュグリ村よりも少し低いのです。
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。