登録区分 | 文化遺産 |
登録基準 | (1),(6) |
登録年 | 1979年 |
フランス中部ブルゴーニュ地方にある小さな街・ヴェズレー。ここには9世紀建造で、マグダラのマリアの聖遺体を祀ったとされるサント=マドレーヌ教会があり、入口のタンパンに刻まれた「使徒に氏名を与えるキリスト」はロマネスク彫刻の傑作とされています。
ここではヴェズレーの教会と丘がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、ヴェズレーの教会と丘について詳しくなること間違いなし!
ヴェズレーの教会と丘とは?
ヴェズレーはパリから南東へ約230kmの位置にあるヨンヌ県の古都。ヴェズレーの丘には、9世紀にイエスの死と復活を見届けとされるマグダラのマリア(サント=マドレーヌ)の聖遺体がベネディクト会の修道士によって南フランスのサン=マクシマンからここへ持ち込んだとされ、教会が築かれました。
ここはスペインの聖地まで続く道、サンティアゴ・デ・コンポステーラ沿いに位置していたため、11世紀には巡礼地として人気を集めました。街の人口も12世紀には増加し、十字軍に出立したイングランド王リチャード1世やフランスのルイ9世など、王族まで訪れるようになるほどに。
丘の上に建つサント=マドレーヌ教会は、12世紀に身廊が新調され、柱には聖書の物語や獅子、象、植物など壮麗なデザインが施されています。そして、入口のタンパンに刻まれた『使徒に氏名を与えるキリスト』は美しく、これはブルゴーニュのロマネスク様式の傑作。
しかし、13世紀以降に聖遺物が他の場所で発見された後は、19世紀まで凋落を続け、最終的には石切場として使用されるほどでした。19世紀後半になると、建築家のウジェーヌ・ヴィオレ=ル=デュックによって再建され、20世紀には再び巡礼地として人気に。
ヴェズレーの教会と丘はどんな理由で世界遺産に登録されているの?
ヴェズレーの教会と丘が評価されたのが、以下の点。
登録基準(i)
ヴェズレーのサント=マドレーヌ教会は『使徒に氏名を与えるキリスト』のレリーフを含めて、ブルゴーニュ地方のロマネスク様式の傑作であるという点。
登録基準(vi)
12世紀にヴェズレーの丘には、中世のキリスト教の巡礼地でもあり、巡礼者だけではなく、十字軍まで訪れる場所であったということ。
世界遺産マニアの結論と感想
ヴェズレーの丘には、マグダラのマリアの聖遺物がここに持ち込まれ、そこに教会が築かれたことから13世紀まで巡礼者や十字軍など、さまざまな人々が訪れる聖地になりました。そして、サント=マドレーヌ教会はタンパンを含めて、ロマネスク様式の傑作とされています。
ちなみに、なぜ現在のパレスチナに住んでいたマグダラのマリアの聖遺体が南フランスのサン=マクシマンにあったのでしょうか?あくまでも伝承ですが、マグダラのマリアはイエスの死後、パレスチナから南フランスへと移住し、苦行を行った後、サン=マクシマンの墓に埋葬されたとか。
ここでは8世紀に聖遺物は隠されたとされ、ヴェズレーの件はなかったことにし、13世紀に「発見された」とされます。そして、ここにも修道院が建造。結局、どこにマリアの聖遺体があるかは今でも不明なまま。
そして、マグダラのマリアは、「イエスの妻」であったという説が現代では人気で、このネタは『ダヴィンチ・コード』を含め、よくイエス・キリストの聖杯伝説の元ネタになったりします。
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。