ポーランドの世界遺産「ワルシャワ歴史地区」とは?ワルシャワ蜂起も含めて世界遺産マニアが解説

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登録区分文化遺産
登録基準(2),(6)
登録年1980年

ポーランド中部にある首都ワルシャワは、1944年のワルシャワ蜂起の際に街の約85%が破壊されてしまいました。しかし、第二次世界大戦後、国民によって町並みが完全復元され、13〜20世紀までの各時代の建築物がすべて再建され、現在でも見られます。ただし、これは非常に珍しい例で、再建された町並みが世界遺産に登録されるのはワルシャワ以外は認められないということになりました。

ここではワルシャワ歴史地区がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、ワルシャワについて詳しくなること間違いなし!

目次

ワルシャワ歴史地区とは?ワルシャワ蜂起によって破壊されるも見事に復元

ワルシャワはどこにある?街のルーツは?

マーケットスクエア/ワルシャワ歴史地区
画像素材:shutterstock

ワルシャワはポーランドの首都であり、ヴィスワ川沿いに面した都市。記録によると13世紀に建造され、14世紀には城壁で囲まれた都市になりました。15世紀後半にポーランド・リトアニア共和国のクラクフにあった王宮がワルシャワに移転され、1611年には首都へ。しかし、その後、周辺国の侵略を受け、18世紀後半にロシア、プロイセン(現在のドイツ北部にあった国)、オーストリアの3国によって「ポーランド分割」によってポーランド王国は消滅。

19世紀になると今度はポーランド共和国が成立して、ワルシャワは急速に成長します。しかし、第二次世界大戦時はナチス・ドイツに併合。1944年にソ連軍が市民に呼びかけることによって発生した「ワルシャワ蜂起」によって戦闘になると、ナチス・ドイツによる反撃によって街の約85%が破壊され、約85万人が犠牲となりました。

ワルシャワ蜂起の際に街のほとんどが破壊されるも、ほぼ忠実に復元

キャッスルスクエア/ワルシャワ歴史地区
画像素材:shutterstock

戦後、再び独立したポーランドは、国民によってワルシャワを復興し、完璧に復元しようという運動が始まりました。しかし、図面や写真だけではその様子はすべては分かりません。18世紀の都市風景画家であったベルナルド・ベッロットはポーランドの宮廷画家であった人物で、彼はワルシャワの旧市街の風景をたくさん残していたため、それを参考に「壁のひび一つまで忠実に」復元されたのです。

歴史地区には、バロック建築から19世紀の新古典様式までが復元され、戦争で破壊された頃よりも古い町並みが再現されています。旧市街の再建は1960年代半まで続き、王宮が再建されたことでプロジェクトは完了。世界遺産は旧市街がコアゾーンとして登録されていますが、新市街もバッファゾーン(緩衝地帯)として登録されています。

登録されている主な構成資産

ワルシャワ王宮

ワルシャワ王宮/ワルシャワ歴史地区
画像素材:shutterstock

16世紀にジグムント3世によってクラクフからワルシャワへ遷都した際に建造されたもの。当時はバロック風の宮殿でしたが、1944年に破壊。他の建造物は戦後すぐに再建されましたが、ここは1984年まで再建されませんでした。これは当時のポーランドは社会主義時代だったため、政府による方針で再建が止められていたもの。現在は美術館となっています。

ワルシャワ歴史地区はどんな理由で世界遺産に登録されているの?

ワルシャワ歴史地区
画像素材:shutterstock

ワルシャワが評価されたのが、以下の点。

登録基準(ii)
ワルシャワの都市全体を復元するという大計画はヨーロッパにおいてもユニークなもので、その後の都市復元計画のモデルになったという点。

登録基準(vi)
ワルシャワの歴史地区は、世界の歴史においても例がない、国民によるキャンペーンによって復元され、現在も存在しているということ。

※再建された町並みが世界遺産に登録されるのはワルシャワ以外は認められないということになっています。

世界遺産マニアの結論と感想

ワルシャワに関しては、その「都市の復元」という点で評価されていて、都市全体を復元するというのはワルシャワ以外には見られない、非常にユニークなもので、その後の都市の復元計画ののモデルになっています。

ちなみに、旧市街の北にある新市街には、「キュリー夫人」で有名なマリ・キュリーの生家があります。「キュリー」は夫であるフランス人のピエール・キュリーの姓。結婚する前は、マリア・スクウォドフスカといい、彼女はポーランド出身でした。結婚してからはフランスで暮らしましたが、彼女はポーランドを愛し、ポーランドで晩年は暮らしたいと希望するほど。しかし、その願いは実現されず、フランスで亡くなっています。

※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。

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この記事を書いた人

世界遺産一筋20年以上!遺跡を求めて世界を縦横無尽で駆け抜ける、生粋の世界遺産マニアです。そんな「世界遺産マニア」が運営するこちらのサイトは1100以上もある遺産の徹底紹介からおもしろネタまで語り尽くすサイト。世界遺産検定一級取得済。

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