登録区分 | 自然遺産 |
登録基準 | (9), (10) |
登録年 | 1999年 |
黒海とカスピ海の間に位置するコーカサス山脈の西側、2989平方kmの山岳地帯が世界遺産に登録。ここには原生林だけでなく、低地から氷河地帯までさまざまな自然環境があり、固有種の植物や野生動物が多く生息し、ヨーロッパバイソンをはじめ希少動物の生息地となっているのが特徴。
ここでは西コーカサス(西カフカース)がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、西コーカサスについて詳しくなること間違いなし!
西コーカサス(西カフカース)とは?
コーカサス山脈は黒海とカスピ海の間を東西に貫く山脈で、ロシアとジョージア、アルメニア、アゼルバイジャンの国境地帯となっています。世界遺産としては北側に広がる大コーカサス山脈の西に位置し、ロシア最高峰であり、ヨーロッパ最高峰のエルブルス山(5642m)を含む広大な山岳地帯が登録。ここは人間の影響を受けていないエリアで、低地から高地までさまざまな自然環境が見られます。広大な原生林だけでなく、湿地や鍾乳洞、氷河などの地形の中に、約1600もの植物が見られます。植物の3種に1つは固有種というほどに生物多様性が見られるというのが特徴。
ここはヨーロッパバイソンの亜種コーカサスバイソンの生息地であった場所ですが、1925年に最後の野生種は死亡してしまったために絶滅してしまいました。しかし、ロシア皇帝が各国にコーカサスバイソンを贈っていたため、それらのバイソンの子孫たちをこの地で再び野生に戻し、現在は飼育に成功したという世界的に珍しい場所でもあります。
西コーカサス(西カフカース)はどんな理由で世界遺産に登録されているの?
西コーカサスが評価されたのが、以下の点。
登録基準(ix)
登録基準(x)
西コーカサスは、人間の影響を受けていないヨーロッパでも数少ない山岳地帯の一つで、高山帯の牧草地は野生動物が暮らし、低地から高山帯に広がる、手つかずの原生林はヨーロッパでも数少ないエリア。ここには固有の植物や野生動物が多く生息し、コーカサスバイソンの起源でもあり、絶滅後に再生された場所であるという点でも評価されています。
世界遺産マニアの結論と感想
西コーカサスは、ヨーロッパでも最高峰の山々が並ぶことから人間の開発を受けていない山岳地帯で、低地から高地まで広がる原生林が残り、ここには固有種の植物が非常に多く、コーカサスバイソンは絶滅したものの、再びこの地に持ち込まれ、繁殖に成功しているという点で評価されています。
ちなみに、国連としては東ヨーロッパとアジアの境界は、ブルガリアとトルコの他に、このカフカス山脈を境としていて、北側のロシアがヨーロッパ、南側のジョージアとアゼルバイジャンがアジアとなっています。そして、ロシアの中でもウラル山脈を境に西側が東ヨーロッパで、東側が北アジアと定義されています。どこも文化的にはそんな変わりがなくて、非常にややこしいですが…国境とはそんなモンです。
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。