ハンガリー・スロヴァキアの世界遺産「アグテレク・カルストとスロヴァキア・カルストの洞窟群」とは?世界遺産マニアが解説

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登録区分自然遺産
登録基準(8)
登録年1995年(2000年拡大)

ハンガリーとスロヴァキアの国境に位置する広大なカルストの台地で、ここには712もの洞窟が存在。バラドラ・ドミツァ洞窟は世界最大の石筍があることでも有名です。ここは熱帯と氷河期などの気候が影響して形成され、数年万年に渡る地質学の歴史を研究するのに適した地。

ここではアグテレク・カルストとスロヴァキア・カルストの洞窟群がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、アグテレク・カルストとスロヴァキア・カルストについて詳しくなること間違いなし!

目次

アグテレク・カルストとスロヴァキア・カルストの洞窟群とは?

ハンガリー側のアグテレク・カルストとスロヴァキア・カルストは、国境をまたがって広がる約567平方kmものカルスト地形。ここは石灰岩などに水が溶けて、岩石や洞窟が形成されています。地下には鍾乳石や石筍が広がり、合計で712もの洞窟が登録。

現在は温暖な気候ではありますが、堆積物と化石は中生代の白亜紀(約1億4500万年〜約6600万年前)後期と第三期(約6500〜260万年前)初期の亜熱帯・熱帯の気候、さらに第四期(約260万年前〜現在)の氷河期のものが見られ、数年万年に渡って熱帯気候と氷河気候のなかでカルスト地形が形成されたという跡が残るという珍しい例。

アグテレク・カルスト

アグテレク・カルスト
画像素材:shutterstock

ハンガリー北部のアグレテク地方に広がるカルスト地形で、面積は約199平方kmにも及び、ヨーロッパ最大で全長約26kmもの長さを誇るパラドラ洞窟があることでも有名。パラドラ洞窟はスロヴァキア領とも地下で繋がっていて、スロヴァキア側の8kmはドミツァ洞窟と呼ばれます。洞窟には高さ約25mもの石筍があり、これは世界最大の石筍とされているもの。

スロヴァキア・カルスト

スロヴァキア・カルスト
画像素材:shutterstock

スロヴァキア南部のカルパチア山脈の支脈の一つに属していて、平原や高原が見られ、地下にはカルスト地形が広がっています。ここは窪地(ドリーネ)や円錐状の丘、渓谷などのカルスト地形が点在し、その中でも25万年前の氷河が地下に残るという「ドブシンスカ氷穴」も合わせて世界遺産に登録されています。ここには固有種を含む500を越える洞窟動物が生息。

アグテレク・カルストとスロヴァキア・カルストの洞窟群はどんな理由で世界遺産に登録されているの?

アグテレク・カルスト
画像素材:shutterstock

アグテレク・カルストとスロヴァキア・カルストの洞窟群が評価されたのが、以下の点。

登録基準(viii)
アグテレク・カルストとスロヴァキア・カルストの洞窟群は種類が多く、ヨーロッパのカルスト地形の典型的な例であり、数千万年に渡る地形の変化が見られます。堆積物と化石は亜熱帯・熱帯の気候だった時代のものと氷河期の地形が見られ、このような古いカルスト地形は非常に珍しいという点。

世界遺産マニアの結論と感想

ハンガリーとスロヴァキアの国境沿いに広がるカルスト地形は数千万年に渡って形成されたというほどに歴史が深く、熱帯の気候や氷河期だった時代のものも含まれ、これらが一つの地域で同時に見られるのは珍しいという点で評価されています。

ちなみに、パラドラ洞窟の各所は形状に合わせていろいろと名前が付けられていて、例えば「コンサートの広間」は広大で鍾乳洞の音響効果を利用しながらオペラやコンサートなどが開催されています。

※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。

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この記事を書いた人

世界遺産一筋20年以上!遺跡を求めて世界を縦横無尽で駆け抜ける、生粋の世界遺産マニアです。そんな「世界遺産マニア」が運営するこちらのサイトは1100以上もある遺産の徹底紹介からおもしろネタまで語り尽くすサイト。世界遺産検定一級取得済。

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