インドの世界遺産「西ガーツ山脈」とは?世界遺産マニアが解説

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登録区分自然遺産
登録基準(9), (10)
登録年2012年

西ガーツ山脈はインド南西部の海岸から少し離れた距離に1600kmにも続く広大な山岳地帯で、ここはモンスーンの影響を受けるという代表的なモンスーン気候帯の特徴が見られる地域。世界遺産としてはナガルホーレ国立公園、バンディプール国立公園などが登録され、これらは生物保護区の一つ・ニルギリ生物圏保護区に属するもの。ここは世界でも有数のホットスポットで「シシオザル」などの325種もの絶滅危惧種が生息していることで有名です。

ここでは西ガーツ山脈がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、西ガーツ山脈について詳しくなること間違いなし!

目次

西ガーツ山脈とは?

西ガーツ山脈
画像素材:shutterstock

インド西海岸から約30〜50km内陸に並列するように続く西ガーツ山脈は、北からマハラシュトラ州、ゴア州、カルナータカ州、ケーララ州、タミル・ナードゥ州にまたがって続き、途中ケーララ州で30kmにも分断される「バルカード・ギャップ」があるものの、総延長は約1600kmにも及びます。ここはヒマラヤ山脈よりも古く、かつてこのエリアはアフリカ大陸と繋がっていたというほどに重要な地形でもあります。敷地は熱帯地域であるにもかかわらず、平均標高が約1000mにもなり、モンスーン気候の影響を受けた高山森林の生態系が見られるのが特徴。

ここは生物保護区の一つ、ニルギリ生物保護区の一部で、ナガルホーレ国立公園、バンディプール国立公園などの4つの国立公園と2箇所の自然保護区を含む、インド最大の保護区となっています。西ガーツ山脈は世界でも有数の生物多様性のホットスポットであり、森林には熱帯常緑樹が含まれていて、少なくとも325種もの絶滅危惧種が生息。特に霊長類のシシオザルやニルギリラングール、ウシ科のニルギリタールなど、絶滅危惧種が多く暮らしていることでも有名です。

西ガーツ山脈はどんな理由で世界遺産に登録されているの?

シシオザル/西ガーツ山脈
画像素材:shutterstock

西ガーツ山脈が評価されたのが、以下の点。

登録基準(ix)
西ガーツ山脈は、ジュラ紀(約2億130万年〜約1億4550万年前)初期の超大陸であるゴンドワナ大陸の分裂に関連していて、まずアフリカから独立して島になると、やがて大陸とぶつかり、インド亜大陸がユーラシア大陸に押し出されるように現在の地形が形成されたということを示す地形。このエリアは天候によって生物の種分化がもたらされ、種の分散と回遊を示し、「アジアの外側」と「アフリカの外側」を表す、進化における群集生態学(2つの生物群の間の移行領域)であるということ。

登録基準(x)
西ガーツ山脈は、大陸にもあるにもかかわらず、動植物の多様性と固有性が多く存在していて、植物は固有種を含んだ4000〜5000種の植物が見られ、樹木は650種のうち352種が固有種。動物は両生類が179種、爬虫類は157種、魚類は219種が生息し、無脊椎動物も多く見られます。そして、アジアゾウ、トラ、ウシ科のガウルなど絶滅危惧種が多く生息し、特に霊長類のシシオザルやニルギリラングール、ウシ科のニルギリタールなどは西ガーツ山脈の固有種でもあり、牧草地や森、湿地など、多くの絶滅危惧種の生息地を保護しているという点。

世界遺産マニアの結論と感想

西ガーツ山脈は、かつては超大陸から分離して、ユーラシア大陸とぶつかってインド亜大陸が形成されたことから、アジアとアフリカの生物群が入り混じったという背景があるため、大陸であるにもかかわらず、非常に固有性が高く、絶滅危惧種も多く生息しているという点で評価されています。

ちなみに、シシオザルは顔の周りの毛が灰色になっているため「Lion-tailed(ライオンの尾)」に見えることから、シシオザルと名付けられています。しかし、実際は果実や種子、昆虫を主食としているので、ライオンのように動物を襲うタイプではありません。

※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。

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この記事を書いた人

世界遺産一筋20年以上!遺跡を求めて世界を縦横無尽で駆け抜ける、生粋の世界遺産マニアです。そんな「世界遺産マニア」が運営するこちらのサイトは1100以上もある遺産の徹底紹介からおもしろネタまで語り尽くすサイト。世界遺産検定一級取得済。

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