中国の世界遺産「武当山古建築」とは?道教寺院も含めて世界遺産マニアが解説

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登録区分文化遺産
登録基準(1), (2), (6)
登録年1994年

中国の中央部にそびえる武当山は、道教の聖地。武当山は7世紀から道教の寺院が築かれていき、15世紀に明の永楽帝によって再建された紫霄宮(ししょうきゅう)をはじめ、多くの建築物が並びます。ここは中国武術の武当拳の発祥地で、それがやがて太極拳へと繋がっていったという伝説があることで有名。

ここでは武当山古建築がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、武当山古建築について詳しくなること間違いなし!

目次

武当山古建築とは?太極拳の故郷?

紫霄宮/武当山古建築
画像素材:shutterstock

湖北省でも北部に位置する武当山は、標高1612mの天注峰を持つ広大な山で、ここには7世紀の唐の時代には既に道教の聖地として道教寺院が並んでいたとされています。その後、元代(1271〜1368年)の末期になると焼失してしまいますが、15世紀になると、明の3代皇帝であった永楽帝が道教を保護したため、寺院は再建され、今でも当時の建物も多く残り、60もの道教関連の建築物が点在。

参道は約60kmにも及び、ここには寺院だけでなく、宮殿や霊廟などが築かれ、特に15世紀に永楽帝によって再建され紫霄宮(ししょうきゅう)や天注峰にある金殿で有名。これらは1000年に渡る道教の発展と密接に関係し、特に明代は歴代の皇帝によって保護されたため、贅を尽くした建築物は中国の宗教史においても非常に貴重なもの。

ちなみに、13世紀に張三丰と呼ばれる人物が、少林寺で修行した後、武当山で独自の流派「武当拳」と呼ばれる中国拳法を編み出し、これが太極拳に繋がったという伝説もありますが、これはあくまでも伝説であり、実際は明の後期から清の初期にかけて発展したというのが現在の通説です。

武当山古建築はどんな理由で世界遺産に登録されているの?

武当山古建築
画像素材:shutterstock

武当山古建築が評価されたのが、以下の点。

登録基準(i)
武当山古建築は、約1000年に渡って築かれた、中国の芸術と建築における傑作であるという点。

登録基準(ii)
武当山古建築は、中国における宗教美術や建築の発展に大きな影響を与えたということ。

登録基準(vi)
武当山古建築は、東アジアでも多くの信徒がいた道教の聖地であり、この地域の信仰と宗教的な哲学の発展に大きな役割を果たしたという点。

世界遺産マニアの結論と感想

武当山は、古来から「真武大帝」という道教の神が修行した地として聖地となっていて、ここは明代に手厚く保護されたため、皇帝がスポンサーとなり、紫霄宮や金殿のように、後の中国の宗教美術や建築に大きな影響を与えたという点で評価されています。

ちなみに、武当山は映画『グリーン・デスティニー』の舞台として登場したので、そちらのイメージが強い人も多いかもしれませんね。

※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。

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この記事を書いた人

世界遺産一筋20年以上!遺跡を求めて世界を縦横無尽で駆け抜ける、生粋の世界遺産マニアです。そんな「世界遺産マニア」が運営するこちらのサイトは1100以上もある遺産の徹底紹介からおもしろネタまで語り尽くすサイト。世界遺産検定一級取得済。

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