登録区分 | 自然遺産 |
登録基準 | (7) |
登録年 | 1992年 |
中国の中南部にある武陵源は、3000以上の岩の柱が森のように立ち並ぶ絶景が続くエリア。ここは地殻変動によって形成された独特の景観を持つ森林公園で、絶滅危惧種のチュウゴクオオサンショウウオなども生息しています。
ここでは、武陵源の景観と歴史地域がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、武陵源について詳しくなること間違いなし!
武陵源の景観と歴史地域とは?どうやって形成された?
武陵源は、中国の湖南省に広がる森林公園や自然保護区などの総称。世界遺産としては、264平方kmもの広大な敷地に3000を超える珪岩の柱が点在しています。このエリアを代表する景色である珪岩の柱は、高さは100〜400mほどあり、これらは地殻変動によって形成されたもの。
約1億8000年前は、このあたり一帯は海に沈んでいて、地殻変動で海底の砂岩が風化したことで、このような地形が作られました。一部はカルスト地形など、石灰岩が広がるエリアもあり、地下には40ほどの洞窟もあります。
ここは多種多様な生態系が見られるということでも知られ、植物だけでも3000種も見られます。政府の保護動物も28種も生息していて、絶滅危惧種のチュウゴクオオサンショウウオも見られます。特にチュウゴクオオサンショウウオは中国では貴重な動物。食用や美容品にされるため乱獲されてしまい、現在では保護対象となっています。
武陵源にはエレベーターがある!?
世界遺産として登録されている範囲内にある「張家界国家森林公園(ちょうかかいこっかしんりんこうえん)」。ここには「世界で最も標高の高い場所にあるエレベーター」としてギネス世界記録に登録された「百龍エレベーター」があります。エレベーターは珪岩の岩壁に沿って築かれ、高さ326mもあり、ガラス張りになっているため、迫力は満点。
武陵源は映画『アバター』のモチーフとなった?
映画『アバター』のモデルとしてよく紹介されていますが、実際のところ監督のキャメロンやスタッフは武陵源ではなく、黄山や桂林などをモチーフにしていると言及しているものの、あまりにも人気が高すぎて、武陵源のある張家界市が「映画に影響を与えた」として主張したもの。「アバター・ハレルヤ山」と名付けられた山があるものの…ここが舞台となったというわけではないのです。
武陵源の景観と歴史地域はどんな理由で世界遺産に登録されているの?
武陵源が評価されたのが、以下の点。
登録基準(vii)
山に囲まれた中に、3000を超える砂岩の柱が並び、特に頻繁に霧が柱を覆うという独特の景観が見られるということ。
※登録時には、絶滅危惧種のツキノワグマやドールなどが見られたため、登録基準(X)も検討されましたが(vii)のみの登録
世界遺産マニアの結論と感想
武陵源は地殻変動によって形成された珪岩の柱が林立する風景は、3000をも超えることから、世界に類を見ない景観として評価されています。登録基準(X)は指定されていないものの、貴重な動植物が見られるというのもポイントです。
ちなみに、百龍エレベーターもなかなかの絶叫ポイントですが、他にも「張家界ガラス橋」という、橋板そのものがガラスがパネルとなっている恐ろしい橋もあり、高所恐怖症の人には耐えられないスポットもたくさんあるのです…。
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。