登録区分(暫定リストに記載) | 文化遺産 |
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登録基準(暫定リストに記載) | (3), (5), (6) |
申請年(暫定リストに記載) | 2021年 |
イェントゥ山はベトナム北東部の標高1068mの小高い山であり、ここは古くから仏教の聖地として有名で、無数の寺院が点在。陳朝(1225〜1400年)時代には、ここでベトナム独自の禅の一派・竹林(チュックラム)派を創設されたことでも知られます。
ここではイエントゥ、ヴィンギエム、コンソン、キエプバックの遺跡・景観群がなぜ世界遺産候補なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、イエントゥの遺跡・景観群について詳しくなること間違なし!
イエントゥ、ヴィンギエム、コンソン、キエプバックの遺跡・景観群とは?
イェントゥ山は、クアンニン省とバクザン省にまたがる山で、紀元前より道教徒が暮らしていたという伝説もあり、李朝(1009〜1225年)以降は麓から山頂へ至る道沿いには寺院や仏塔など、仏教関連の建築物が多く築かれ、陳朝時代には国内でも有名な聖地でした。
そして、太祖・陳太宗(在位:1225〜1258年)はここを訪れた後、聖地として整備していき、3代・陳仁宗(ちんじんそう、在位:1278〜1293年)はここで隠居し、ベトナム独自の禅の一派・竹林(チュックラム)派を創設。それもあり、ここは竹林派の中心地となり、後の時代も山腹には寺院や仏塔、墳墓、記念碑、彫像などが無数に並び、他にはない独自の景観が広がるようになりました。
他にも、イェントゥ山の西に位置するハイズオン省のコンソン・キエップバック遺跡地域や特別国定公園など、陳太宗がこの地でモンゴル軍を打ち破った場所ということもあり、寺院や遺構などが残されています。
イエントゥ、ヴィンギエム、コンソン、キエプバックの遺跡・景観群はどんな理由で世界遺産に登録される予定なの?
イエントゥの遺跡・景観群が評価されたのが、以下の点。
登録基準(iii)
イェントゥの遺跡群は、長い文化交流の例であり、インドや中国などと交流して生まれたベトナム文化が見られ、独自の仏教を生み出したという相互作用により、景観や建築様式、装飾などにそれらの証拠を残しているという点。
登録基準(v)
イェントゥの遺跡群は、人間と環境の関わり、そして伝統的な人間の居住が見られます。壮大な自然環境の中に優れた建築物が築かれ、風水なども考慮された、仏教の中心地として表現されているということ。
登録基準(vi)
イェントゥの遺跡群は、ベトナム仏教の系統である竹林派の誕生と密接に関係していて、それは宗教と生活を密接に結びつけ、木版などにも確認されています。これは当時の社会に影響を与え、書道といった芸術作品の発展にも寄与しているという点。
世界遺産マニアの結論と感想
イェントゥは、古来からベトナムの聖地であり、ここはインドや中国の文化の影響を受けて独自の仏教が発展し、無数に点在する建造物からはその証拠が残され、書道の発展にも影響を与え、文化を発展していったという点で評価されています。
ちなみに、イェントゥ山は聖地であるものの、山頂付近にはロープウェイがあり、さらには高級ホテルもあったりと…どちらかというと今は観光地のような雰囲気もあります。
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。