世界遺産を最終決定するのは、世界遺産委員会なのですが、登録までにはどのような経緯があるのでしょうか?そして、どれくらいの期間を審査に費やすのか?
今回は世界遺産登録までの流れを世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、世界遺産登録までの流れについて具体的に理解できること間違いなし!
世界遺産の登録はどれくらいかかるの?
保有国の方針によって異なるのですが、推薦書を世界遺産センターに提出してから、登録が決定するまで「1年半」ほど。もちろん、登録延期となる可能性があるので、これはストレートで登録された場合の話です。
1、暫定リストの作成から推薦書の提出
世界遺産条約の締約国は、世界遺産センターの協力を受けながら世界遺産候補である暫定リストを作成する必要があるのです。世界遺産センターは、暫定リストを受理したら、 世界遺産センターの公式サイトに公開。ちなみに、暫定リストに掲載されていない遺産を、世界遺産に推薦することはできません。
そして、締約国はその暫定リストの中から登録への推薦書を作成し、2月1日までに世界遺産センターへ提出。この時、内容に不備がある場合は、世界遺産センターで受理されません。
2、ICOMOSとIUCNに調査依頼〜報告
推薦書が「完全」と判断された遺産には、世界遺産センターから諮問機関へ推薦書が送られ、文化遺産はICOMOS、自然遺産はIUCNが調査を行います。 複合遺産の場合はICOMOSとIUCNがそれぞれの分野を審査。
その年の夏頃までに現地調査と審査を行い、質問などがあったら翌年の1月31日までに保有国に通知。その後、世界遺産委員会の6週間前までに、審査結果とアドバイスをまとめ、4段階の「勧告」として世界遺産センターに登録します。
3、世界遺産委員会での最終決定
世界遺産委員会では報告書を審議して、世界遺産リストへの登録の可否を決定します。もし委員国の意見がまとまらない場合は、投票が行われ、2/3以上の同意があれば可決。
世界遺産委員会では、世界遺産リストへ推薦された遺産を 「登録」「情報照会」「登録延期」「不登録」の4段階で決議を行います。それぞれ解説していきましょう。
登録
顕著な普遍的価値が認められ、世界遺産リストへの記載が認めたこと。
情報照会
追加情報を求めるということ。次回の世界遺産委員会に推薦書を修正して再提出すれば、審査を受けることが可能。 3年以内に再提出が行われない場合は無効となります。
登録延期
ほぼ不登録という扱いで、推薦書の改善が必要。推薦書の再提出から1年半の審議となります。
不登録
世界遺産リストへ記載するのにふさわしくないと判断。不登録になると、よほどの理由がない限り再推薦は認められません。
世界遺産マニアの結論と感想
とにかく、こう書くとすごくスムーズに感じますが、推薦書も何度か書き換えたりするので、世界遺産委員会で「登録」を認められるのは実はかなり大変…。
まず、暫定リストにすら載せるのも難しく、世界遺産にしようと思ってから登録までは何十年もかかったりするので地元の人々の努力と思い入れが最も大事な気がしますね。鎌倉と彦根城はもはや暫定リストに掲載してから、30年くらい経っているので、とにかく時間がかかるというのが現状です。
※写真はイメージです
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。