氷河が創り出す壮大な景観や青く輝く氷の洞窟などは、訪れる人々を魅了します。氷河は美しいというだけでなく、地球の気候変動や生態系の重要な指標としても重要視されているため、なかには世界遺産に登録されているスポットもあるのですよ。
ここでは、世界遺産に登録されている氷河を世界遺産マニアが厳選して分かりやすく解説。それぞれの遺産を簡潔に解説していきましょう。
目次
ヴァトナヨークトル氷河/アイスランド
ヴァトナヨークトル氷河は、ヨーロッパ最大級の体積を誇る氷河。氷河の下には多くの火山があり、特に活発な火山活動が見られ、噴火によって氷が急激に溶けるため、大規模な洪水を引き起こす「ヨークルフロイプ」と呼ばれる現象が発生することがあります。
氷河は氷の洞窟が出現することから洞窟ツアーが人気ですが、氷河そのものは18世紀の終わりまで拡大が続いたものの、現在は地球温暖化の影響で年々範囲は狭まってきています。
詳細はこちら↓
ロス・グラシアレス国立公園/アルゼンチン
ロス・グラシアレス国立公園は、アルゼンチンのサンタ・クルス州南西部にあり、チリの国境の近くにあります。園内には氷河がいくつかありますが、最も有名な氷河は「ロス・グラシアレス国立公園」。ここは氷が約250平方kmも覆っており、湖面からの高さは60m。最も活発な氷河として知られ、一般的な氷河は一年でたったの数mしか動かないのに対して、年間でも600〜800mもの速度で移動することで知られます。
夏になると展望台から先端部が崩落する姿を見られ、観光客も多く訪れる氷河でもあります。
詳細はこちら↓
アレッチ氷河/スイス
アレッチ氷河は、スイスのアルプス山脈で最も大きな氷河で、長さは約23km、面積は約118平方kmに及びます。標高4000メートル以上の山々に囲まれていて、4000〜2000万年前にアフリカ大陸プレートが北へ向けて移動したことで、大地が隆起し形成されたもの。
この氷河が谷を削り、U字谷や岩石などが盛り上がったモレーンが形成され、このような地形が一帯には何箇所も点在。
詳細はこちら↓
クック山(アオラキ)/ニュージーランド
南島の中央部にあるニュージーランド最高峰で、標高は3754m。クックとは、海軍士官であり、探検家であったジェームズ・クックから由来していますが、もともとは先住民のマオリ・ナイ・タフ族からは「アオラキ(雲の峰)」と呼ばれていました。
現在は周囲を含めて国立公園となっていて、707平方kmもの広大な敷地は約40%が氷河に覆われており、厳しい自然が続くエリアでもあります。
詳細はこちら↓
セルメク・クジャレク氷河(ヤコブスハブン氷河)/デンマーク(グリーンランド)
約3200平方kmにも及ぶ「セルメク・クジャレク氷河(ヤコブスハブン氷河)」は、南極大陸を除く世界で最大の氷河であるグリーンランドの中でも、その面積の約10%を占めています。氷河は標高1200kmから海へ向かって流れ落ち、ここから分離する氷は毎年40立方kmにも及ぶ、世界でも活発な氷河。この氷河によって、大地が削られ、フィヨルドが形成されます。
詳細はこちら↓
フェドチェン湖谷氷河/タジキスタン
タジキスタン国立公園は、タジキスタン東部のゴルノ・バダフシャン自治州に位置する国立公園で、ここは標高5000mを越えるパミール高原の北側に位置する山岳地帯であり、キルギスとの国境沿いに広がっています。
ここは1085もの氷河があり、その中でも「フェドチェンコ氷河」は約70kmにも及び、北極圏と南極圏以外では最も長い氷河です。他にも170の河川と400を越える湖が点在。
詳細はこちら↓
世界遺産マニアの結論と感想
氷河というと、北極や南極というイメージがあるかもしれませんが、実は高山の頂上などにも多く見られるのが特徴。もちろん、氷の美しい景観が見られるというだけでなく、世界遺産に登録されている氷河は、温暖化など地球の変化を観察できるという点でも重要な場所でもあるのです。
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。