沖縄県は、日本の南西に位置する島が多く並ぶエリア。かつては琉球王国という独自の国家であり、現在でも当時の城(グスク)が今でも残っています。とはいえ、本島や離島に広がる美しい自然も沖縄の魅力。そんな沖縄には世界遺産はいくつあるでしょうか?
ここでは、沖縄県の世界遺産を世界遺産マニアが一覧にして分かりやすく解説。それぞれの遺産を簡潔に解説していきましょう。
琉球王国のグスク及び関連遺産群
今帰仁城跡(なきじんじょうあと)/今帰仁市
島の北東部に位置していた北山王国(14世紀〜1416年)の居城で、中心部であった場所。琉球王国が成立した後は、王府から派遣された北山監守の城として使用されていました。ここは丘の上に位置していて、川や谷に囲まれた天然の要塞。城壁は自然の石をそのまま積み上げる「野面積み」が見られ、曲線を描くように囲まれています。ここは県内最大級のグスクとしても有名。
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座喜味城跡(ざきみじょうあと)/読谷村
読谷村の西海岸にあるグスクで、15世紀に有力按司であった護佐丸によって築かれたもの。グスクは丘の上に築かれたため、周囲を見渡すことができ、ここは米軍の基地があったものの、本土復帰後は修理が進められ、アーチ型の城門の保存状態も良好。
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勝連城跡(かつれんじょうあと)/うるま市
勝連半島の西側の崖の上に築かれたグスク。12世紀には既に築城が始まったとされ、登録されているグスクの中でも最古のものとされています。現在の勝連城は14世紀に勝連の按司によって建造され、15世紀に阿麻和利がクーデターで城を奪い、居城としたものの、第一尚氏によって滅ぼされ、廃城となります。
ここは南城(ヘーグシク)と北城(ニシグシク)によって構成されていて、自然の丘を利用した石垣で仕切られた曲輪があり、港(南風原集落)も併設されていました。
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中城城跡(なかぐすくじょうあと)/北中城村・中城村
中城村に位置する標高約160mの高台にあるグスクで、勝連城とは中城湾の対岸に建つもの。14世紀後半に築かれ、15世紀に座間味城から移封された護佐丸によって、6つの曲輪で構成される現在の姿になりました。ちなみに、護佐丸は最後自刃をしたとされ、ここには護佐丸の墓もあります。
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首里城跡/那覇市
琉球王朝の居城で、那覇市内を見下ろすように丘陵地帯に築かれたもの。14世紀には中山王の城として建造され、琉球王国の首都となると、ここは政治や経済、文化の中心地でありました。
ここは二重の城壁に囲まれていて、合計で1080mにもなり、ここは水平に揃えて積む「布積み」や石材を加工する「相方積み」が混在するもの。内郭には9つの門、外郭には4つのアーチ門がありました。
王の住まいの正殿、政務をする南殿に囲まれた御庭(うなー)は何度も破壊と再建を繰り返し、現存していません。正殿の裏側は「御内原(うーちばる)」と呼ばれ、ここは王族や女官たちの住まいとなっていて、現在は発掘が進み、遺構なども発見されています。
しかし、2019年の火災によって、正殿と北殿、南殿が全焼し、現在は再建工事が行われています。1958年に再建された守礼門は火事の影響を受けずに残っていて、城壁や門以外で当時の雰囲気を残す建造物はほぼここだけ。
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園比屋武御嶽石門(そのひゃんうたきいしもん)/那覇市
首里城の北側、石門の背後に広がる森のこと。ここは1519年に第二尚氏の三代尚真王によって建造された礼拝所で、木造の建築様式なのにもかかわらず、石造であるという独特のもの。沖縄戦の際に破壊されたため、戦後は修復されています。
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玉陵(たまうどぅん)/那覇市
首里城の西側に位置する玉陵は、1501年に第二尚氏の3代・尚真王によって建造され、第二尚氏歴代の王が葬られた陵墓。ここは沖縄最大の破風墓で、内部は中室、東室、西室の3つに分かれています。まず、王族の遺体は中室に置かれ、数年建つと骨は洗骨され、王と王妃、王子は東室、その他の王族は西室に置かれたという独特のスタイル。
しかし、ここも沖縄戦の際に破壊され、ほとんどが復元されたもの。
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識名園/那覇市
首里城から約1.5km南の位置にある王家の庭園だった場所。ここは1799年に造園され、中国と沖縄の独自の様式が見られるもの。中国からの使者が訪れた際に使用する迎賓館のような役割だったとされています。沖縄戦でほとんどが破壊されたため、現在見られる建造物はほぼ復元されたもの。
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斎場御嶽(せーふぁうたき)/南城市
沖縄本島の南部に位置する聖域。御嶽とは、琉球神道の祭祀施設を指していて、神がいる場所として崇拝されてきました。ここは琉球王国の最高神職である聞得大君(きこえおおぎみ)による儀式が行われてきた場所で、写真は「三庫理(さんぐーい)」といった国内でも最も格式の高い拝所であった場所。
ここは中央集権だった琉球王国の王族の信仰を支える国家的祭祀の場として存在し、かつては男子禁制だった場所でもありました。
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奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島
沖縄県北部/国頭村・大宜味村・東村
沖縄本島でも国頭村、大宜味村、東村に属する北部は自然が多く残るエリアで、北部は昔から「やんばる(山原)」と呼ばれています。世界遺産としてはやんばる国立公園の山間部が主に登録されていて、沖縄最高峰の与那覇岳(標高503m)も含む原生林が残るエリア。
特に沖縄北部だけにしか生息していない、絶滅危惧種ヤンバルクイナは、ほとんど飛ぶことができない珍しい鳥類。これは1981年に新たなるクイナの仲間と発見され、新種として知れ渡るようになりました。他にも標高300mにあるスジダイの天然林に生息する、オキナワトゲネズミもまた絶滅危惧種。
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西表島/竹富町
沖縄でも最も西に位置する八重山諸島に属している島で、山がちであったため、開発がされることがなく、今でも多くの動植物が暮らす島でもあります。世界遺産としては、人間が暮らす沿岸部以外はほとんどの場所が登録されているのが特徴。
島の代名詞的存在が特別天然記念物のイリオモテヤマネコ。20世紀に入って発見され、大陸や台湾などに生息するベンガルヤマネコの亜種であることが分かりました。西表島はヤマネコが暮らす島としては世界最小でもあります。島は大型哺乳類がおらず、イリオモテヤマネコは生態系の頂点であったものの、家畜や交通事故、開発の影響によって数は減少しつづけ、今では100匹前後しか存在していません。
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世界遺産マニアの結論と感想
沖縄県の世界遺産としては2件ではありますが、構成資産として数えると11箇所も登録されています。琉球王国の史跡から今も人々に守られている聖域、ヤンバルクイナが住む森まで幅広いジャンルの遺産があるのが魅力です!ぜひディープに楽しんでくださいね。
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。