陽関はかつてシルクロード沿いにあった関門で、ここ先は西域であったことから辺境の地にありました。シルクロード沿いにあることから世界遺産に登録されていると思いきや…実は世界遺産じゃないんです。有名なスポットなのになぜ?
ここでは陽関が、なぜ世界遺産でないのか?世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、陽関について詳しくなること間違なし!
陽関とは?

中国の西方・甘粛省の敦煌市から南西へ約70kmの位置にある陽関。ここは現在は遺構となっていますが、かつてはシルクロードの重要な関所の一つでした。紀元前120年ころに前漢の武帝(前156年〜前87年)によって、要塞化され、ここはシルクロードでも重要な関所として活躍。もう一つの関所である玉門関の南にあったことから「南」を意味する「陽」の関として名付けられました。
ここから西は中国としては「西域」として実質的には国境という存在ではあったので「悲しい別れの地」として詩のテーマとしても題材となり、唐の時代の詩人・王維もここをテーマに詩を詠んでいます。しかし、900年頃には廃墟となってしまい、現在は建造物が一つ残るだけ。
陽関はなぜ世界遺産として登録されないの?



北側にある玉門関は世界遺産に登録されているのに、陽関は世界遺産としては登録されていません。これはなぜでしょうか?推薦できるのは中国政府だけなので、その方針はなんともいえませんが、玉門関は宋(960〜1279年)の時代まで利用されたのに対して、陽門はそれより以前に放棄されたため、その名残がそれほど見られないというのが理由かもしれません。
さらに世界遺産に登録させるには、世界遺産条約の締約国の政府が世界遺産センター(世界遺産委員会事務局)の協力を受けながら世界遺産候補である「暫定リスト」を作成する必要があるのです。つまり、暫定リストに掲載されていない遺産は、世界遺産に推薦することはできません。そして、現在の中国の暫定リストには陽関が記載されていないため…残念ながら世界遺産になる可能性は今のところ0%です。
世界遺産マニアの結論と感想
残念ながら陽関は世界遺産ではありませんが…しかし、それは現段階の話。これから中国政府が推薦するかもしれないですし、市民の間で世界遺産への登録運動が発生するかもしれないですし…世界遺産になる可能性は、あくまでも「これから」なのです。
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。