登録区分 | 文化遺産 |
---|---|
登録基準 | (1), (3), (4), (6) |
登録年 | 1987年 |
兵馬俑坑は「秦始皇帝陵及び兵馬俑坑」の構成遺産の一つ。兵馬俑とは、中国を初めて統一した始皇帝(紀元前259年〜紀元前210年)の陵墓のすぐそばで発見された8000体もの兵士や馬をかたどった陶器のこと。ところで、兵馬俑坑はなぜ世界遺産なのでしょうか?
ここでは兵馬俑坑がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、兵馬俑坑について詳しくなること間違なし!
兵馬俑坑とは?その読み方は?
中国中部・陝西省の省都・西安から北東へ30kmに始皇帝陵。東へ約1.5km離れた距離にある陪葬杭では兵士や馬をかたどった陶器が並び、「兵馬俑(へいばよう)」と名付けられました。これは1974年に村の住民が井戸を掘ろうとした際に発見されたもの。ここでは8000体の兵馬俑と大量の青銅器の武器も発掘されました。「俑」とは粘土で造られ、古代中国では死者と一緒に埋葬されるという風習があったもの。かつては彩色されていたと考えられ、どれも顔つきが違うというのも特徴です。
兵馬俑というと、兵士と馬だけのようなイメージを与えますが、文官や芸人など、さまざまなタイプもあります。現在では始皇帝が来生に人々を連れて行くために建造したと推測されるもの。
兵馬俑は「生き埋め」の兵士や馬?
1974年の発見時に兵馬俑はあまりにもリアルだったためか、最初は「人間の遺体」が出てきたと驚いたほど。そのことから、8000体の中には「本物の人間が埋まっているのでは?」という噂があるものの、兵馬俑から人骨が出てきたことは一度もありません。ただ、なぜこんなにも多くの兵士や馬が必要だったのかは今でも不明なところ。
アニメ『キングダム』にも兵馬俑が登場する?
原泰久氏の漫画『キングダム』でも有名になった始皇帝こと嬴政。アニメ第3シリーズのエンディングテーマでは、登場人物たちが兵馬俑になっていましたが、兵馬俑は身分が高い人から庶民まで造られたので、主人公である李信や蒙武、王翦(おうせん)など、実際に存在した将軍たちの顔を表した俑もあったかもしれませんね。
兵馬俑坑はどんな理由で世界遺産に登録されているの?
兵馬俑坑が評価されたのが、以下の点。
登録基準(i)
兵馬俑坑は中国の初期王朝において代表的な彫刻品で、これには当時の卓越した技術と芸術が見られるという点。
登録基準(iii)
兵馬俑は、春秋戦国時代と秦の時代の軍人の姿を残す資料になっているということ。
登録基準(iv)
始皇帝陵は中国でも最大の陵墓で、敷地は首都であった咸陽をモチーフにしたという独特のデザインであるという点。
登録基準(vi)
始皇帝陵の建設は中国初の統一王朝・秦において国家プロジェクトになるほど重要な役割を持っていたということ。
世界遺産マニアの結論と感想
兵馬俑坑は初めての統一王朝であった秦の彫刻作品であり、初期王朝の技術と芸術が見られ、当時の軍人たちの服装や武器などが詳細に分かるという点で評価されています。
ちなみに、兵馬俑に似たような陶器は、後の漢代以降にも築かれたものの、高さはせいぜい50cm程度で、それ以降はこれほどに巨大なものは建造されませんでした。このエピソードだけでも始皇帝がどれだけの財力と技術力を持っていたかというのがよく分かりますね。
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。