登録区分 | 文化遺産 |
登録基準 | (2), (3), (5) |
登録年 | 2001年 |
スウェーデンの中部にあるダーラナ地方の都市ファールンには、13世紀から20世紀まで栄えた銅山がありました。ここは17世紀には全世界の銅の産出量において3分の2を誇るほどに繁栄し、今でも歴史的な建造物や何世紀にも渡って発展したことを示す関連遺跡が見られます。
ここではファールンの大銅山地域がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、ファールンについて詳しくなること間違いなし!
ファールンの大銅山地域とは?
ダーラナ地方では、少なくとも9世紀以降から銅の採掘が行われていて、13世紀には市街地が形成。ファールンは20世紀後半まで廃山になるために何世紀に渡って発展したことを示す産業遺産でもあります。17世紀には全世界の銅の産出量において3分の2を誇るほどに発展し、ここはスウェーデンでも最大規模の都市で、ヨーロッパにおいても技術と経済、社会に強い影響を与えました。
ファールンは14世紀に既に王から特許を得ていて、鉱山労働者は資金や道具、建築物を鉱山経営者と共有し、利益に貢献した分、給与を貰えるという独特のシステムでした。
ファールンの鉱山跡には、露天掘りの採掘坑や巻上装置、操舵室、ヘッドフレーム、ウインチ小屋など、17世紀の最盛期の採掘設備のほか、管理棟や労働者用の住宅などが残ります。そして、現在の市街地は17世紀に計画され、当時建造された聖堂などは今でも残り、19世紀後半まで鉱業で大いに繁栄した姿を今に残すもの。
ファールンの大銅山地域はどんな理由で世界遺産に登録されているの?
ファールンが評価されたのが、以下の点。
登録基準(ii)
ファールンの大銅山地域は、ドイツの採掘技術より影響を受け、17世紀にはヨーロッパにおける銅の生産国として栄え、2世紀に渡って世界各地の採掘技術に大きな影響を与えたという点。
登録基準(iii)
ファールンの大銅山地域は、9世紀ころから形成され、20世紀の終わりまで発展した銅山と市街地が現在も残るということ。
登録基準(v)
ファールンの大銅山地域で現在まで残る銅山跡などの産業遺産は、家庭内工業の段階から工業生産に至るまでの段階を示すものであるという点。
世界遺産マニアの結論と感想
ファールンの大銅山地域は、古くから銅が採掘され、鉱山町が築かれると、17世紀にはヨーロッパでもトップクラスの産業都市となり、その採掘技術を各地に伝え、それまでの家庭内工業から工場において大規模生産への移行過程が見られるという点で評価されています。
ちなみに、スウェーデンを含む北欧の伝統的な木造小屋は赤い顔料で塗られていますが、これは「ファールン赤」と呼ばれ、ファールンで産出された残留物で合成されたもの。16世紀から現在まで、ファールン赤は使用されているため、色調は時代によって流行が異なるとか。
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。