登録区分 | 文化遺産 |
登録基準 | (1), (3) |
登録年 | 1983年 |
ドイツ南部、アルプスの谷に位置する村・ヴィースでは「ヴィースの涙の奇跡」という不思議な出来事が発生しました。やがて巡礼者が集まるようになり、1745〜54年にかけてドミニクス・ツィンマーマンという建築家により教会が建造。教会は小さいながらも内部装飾は豪華絢爛で、ロココ様式の傑作として知られています。
ここでは、ヴィースの巡礼教会がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、ヴィースの巡礼教会について詳しくなること間違いなし!
ヴィースの巡礼教会とは?
ドイツ南部のバイエルン州。シュタインガーデンという小さな町の近くにはウィースの村があります。のどかな村に奇跡が起きたのは1738年。とある農夫の婦人が修道士が彫った「鞭打たれるキリスト」の木像を貰い受けたところ、キリストの目から涙が溢れるという不思議な現象が起きたとされます。そのことは村では話題になり、木像は礼拝堂に置かれました。
その途端、ドイツだけでなく、オーストリア、チェコ、イタリアなどから巡礼者が訪れるにようになり、やがてシュタインガーデンの修道院長が壮麗な施設を作ろうと決意するように。そして、資金が貯まると1745年に建築家ドミニクス・ツィンマーマンに教会の建造を依頼しました。
教会は楕円形の構造になっていて、拝廊(教会の入口であり、ロビーのようなもの)は半円形でドーム型。拝廊はアーチ型の柱が設置され、より光が取り入れられるような構造になっています。そして、ロココ様式の装飾としてはヨーロッパでもトップクラスの傑作。
ロココ様式とは、「ロカイユ」から由来するもので、建築手法でいうと曲線を多用して壁と天井の境目がないようにするスタイル。まさにヴィースの巡礼教会は典型的なロココ様式のもので、フレスコ画とスタッコ(化粧漆喰)で施された、天井にはまさに「天から降ってきた宝石」と呼べるほどの豪華絢爛な世界が広がっています。兄で画家のヨハン・バプティスト・ツィンマーマンがフレスコ画を担当し、ウィースの教会は絵画と建築のコラボレーションと呼べるような内容。
ヴィースの巡礼教会はどんな理由で世界遺産に登録されているの?
ヴィースの巡礼教会が評価されたのが、以下の点。
登録基準(i)
丘の上に位置するヴィースの巡礼教会は、ロココ様式の傑作であるという点。
登録基準(iii)
現存する教会は今でも巡礼者が多く訪れ、村の文化と宗教の伝統が残っているということ。
世界遺産マニアの結論と感想
ウィースは、アルプスの麓の小さな村にある教会なのですが、ヨーロッパのロココ様式を代表する建築物であるということが評価。そして、木像のキリスト教が涙を流したという奇跡からこんな立派な教会が作られ、現在も巡礼に訪れる人が多くいるという点もポイント。
ちなみに、相当な傑作だったのか、建築家ドミニクス・ツィンマーマンは教会が竣工した1754年にウィーズに移住し、1766年に亡くなるまでこの地で暮らしました。制作者自身もいつまでも見ていたいほどに美しい教会ということですかね…。
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。