登録区分 | 文化遺産 |
登録基準 | (1), (3) |
登録年 | 1998年(2010年拡大) |
ポルトガルとスペインの国境近くにあるドウロ川の上流地域はコア渓谷とシエガ・ベルデという2つの岩絵が多く点在する場所が世界遺産に登録。ここは2万年以上前の旧石器時代ものも存在し、コア渓谷はイベリア半島でも最も広範囲に点在する岩絵群でもあります。
ここではコア渓谷とシエガ・ベルデの先史時代の岩絵遺跡群がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、コア渓谷とシエガ・ベルデについて詳しくなること間違いなし!
コア渓谷とシエガ・ベルデの先史時代の岩絵遺跡群とは?
イベリア半島北部を流れるドウロ川。ポルトガル側にあるコア渓谷の岩絵群が1998年に世界遺産になると、スペイン側にあるシエガ・ベルデの岩絵群も2010年に追加で登録されました。これらは旧石器時代(約260万年〜1万年前)の終わりから継続的な人間の居住地であったということを示しています。
岩絵は河川の浸食によって形成された断崖に描かれており、主に動物をモチーフとされるデザインの線刻画で構成されています。コア渓谷では約5000ヶ所、シエガ・ヴェルデでは約440ヶ所も発見され、これらは先史時代の聖域だったと考えられるもの。まさにイベリア半島における先史時代の芸術で、特にコア渓谷は後半に岩絵が点在するという非常に珍しいエリア。
コア渓谷とシエガ・ベルデの先史時代の岩絵遺跡群はどんな理由で世界遺産に登録されているの?
コア渓谷とシエガ・ベルデが評価されたのが、以下の点。
登録基準(i)
コア渓谷とシエガ・ベルデの岩絵群は、後期旧石器時代のマドレーヌ文化や亜旧石器時代(2万2000年〜8000年前)にまで遡り、人類の創作物という点でその始まりが見られるユニークなもので、旧石器時代の芸術でもあるという点。
登録基準(iii)
コア渓谷とシエガ・ベルデの岩絵群は、人類の先祖の社会や経済、宗教などにおける「夜明け」が見られるものであるということ。
世界遺産マニアの結論と感想
ポルトガルとスペインにまたがる2つの岩絵群は、2万年以上前から描かれ続けたもので、人類の芸術品としては最古の部類に入り、ここには先史時代の居住地があったことから人類の歴史のルーツの一つでもあるという点で評価されています。
ちなみに、1980年代後半にコア渓谷が発見されたため、その後にダムや水力発電所の開発の話があったものの、ポルトガルの世論は反対を示し、1995年に当時の首相によってダムや発電所の建設中止が決断されました。現在は公園として整備されているものの、結構危なかった遺産なのです…。
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。