ルーマニアの世界遺産「トランシルヴァニア地方の要塞教会のある村落群」とは?世界遺産マニアが解説

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登録区分文化遺産
登録基準(4)
登録年1993年(1999年拡大)

ルーマニア中央部にあるトランシルヴァニア地方には、ドイツから入植したザクセン人によって15〜17世紀に渡って防壁で囲まれた「要塞教会」という独特の建築物が作られました。特に三重の防壁に囲まれたビエルタンの要塞教会が有名。

ここではトランシルヴァニア地方の要塞教会のある村落群がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、要塞教会について詳しくなること間違いなし!

目次

トランシルヴァニア地方の要塞教会のある村落群とは?

プレジュメルの要塞教会/トランシルヴァニア地方の要塞教会のある村落群
画像素材:shutterstock

ルーマニア中央部の南トランシルヴァニアは、大きな川から分かれる小川による渓谷が続く高原地帯。12〜13世紀に現在のドイツからこの地に入植してきたザクセン人と呼ばれる人たちによって町や村が建造されていきました。

その後、15〜17世紀に東方からオスマン帝国が侵攻してきたために、各地の大きな町は城壁が築かれたのですが、小さな村には、有力者や貴族がいなかったため、外敵に備えた防壁が作ることができず、その代わりに村の中心に位置していた聖堂を囲むように要塞が築かれ、これが今も残る「要塞教会」となりました。

ヴィスクリの要塞教会/トランシルヴァニア地方の要塞教会のある村落群
画像素材:shutterstock

要塞教会の構造は、村々によって形態は異なるものの、内部には倉庫などが築かれ、長期の攻撃の際も籠城できるように設計されているというのが特徴。これらは13〜16世紀当時の村々の暮らしを現在に残しています。

トランシルヴァニア地方には、約300もの要塞教会がありますが、世界遺産としては、ビエルタン、クルニク、ドゥルジウ、プレジュメル、サスキズ、ヴァレア・ヴィイロル、ヴィスクリと、7つの村の要塞教会が登録。

ビエルタンの要塞教会

ビエルタンの要塞教会/トランシルヴァニア地方の要塞教会のある村落群
画像素材:shutterstock

もともとは1993年にビエルタンの要塞聖堂のみ「ビエルタンとその要塞聖堂」として世界遺産に登録したものの、1999年に他の6つの教会が加わり、現在に至ります。特にビエルタンの要塞教会は、14〜16世紀に要塞化されていったもので、三重の防壁を持つ堅固なもの。1つのドアノブで15の閂(かんぬき)を開けることができる扉などもあり、当時のザクセン人の技術が優れていたことを示しています。

トランシルヴァニア地方の要塞教会のある村落群はどんな理由で世界遺産に登録されているの?

ビエルタンの要塞教会/トランシルヴァニア地方の要塞教会のある村落群
画像素材:shutterstock

要塞教会が評価されたのが、以下の点。

登録基準(iv)
トランシルヴァニア地方の要塞教会のある村落群は、13〜16世紀にザクセン人によって築かれた要塞教会を中心に、土地利用や住居の形態、中世後期から続く家族経営の農場など、南トランシルヴァニアの文化的景観が見られるという点。

世界遺産マニアの結論と感想

南トランシルヴァニア地方にある7つの要塞教会がある村々は、ザクセン人が築いた要塞教会を中心に、その土地に合わせて住居を建造し、中世から農業が続けられているという景観が評価されています。

ちなみに、ビエルタンにある監房では、喧嘩している夫婦をわざと監房に閉じ込めるのですが、食器と寝台も一つだったために自動的に仲直りしたとのこと。このことからこの村では離婚は稀だったそうで、現代では難しいですが、ある意味この施策が夫婦円満の「秘訣」だったのかもしれませんね。

※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。

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この記事を書いた人

世界遺産一筋20年以上!遺跡を求めて世界を縦横無尽で駆け抜ける、生粋の世界遺産マニアです。そんな「世界遺産マニア」が運営するこちらのサイトは1100以上もある遺産の徹底紹介からおもしろネタまで語り尽くすサイト。世界遺産検定一級取得済。

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