カナダの世界遺産「レッド・ベイのバスク人捕鯨基地」とは?世界遺産マニアが解説

登録区分文化遺産
登録基準(3), (4)
登録年2013年

カナダ北東部にあるラブラドール半島とニューファンドランド島の間に位置するベルアイル海峡一帯は、16世紀にヨーロッパからこの地に移住してきたバスク人の捕鯨基地がありました。当時の鯨油はヨーロッパで重宝されたため、ここはグラン・ベイヤと呼ばれ、難破船やクジラの骨、当時の精錬所、埠頭、居住区、墓地などが遺跡として残されています。

ここではレッド・ベイのバスク人捕鯨基地がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、レッド・ベイについて詳しくなること間違いなし!

目次

レッド・ベイのバスク人捕鯨基地とは?

レッド・ベイのバスク人捕鯨基地
画像素材:shutterstock

カナダ東部のニューファンドランド・ラブラドール州にあるレッド・ベイは、ベルアイル海峡の本土側に位置する場所。ここは南に浮かぶサンブル島があることから、港として良好で、16世紀になるとバスク人(ピレネー山脈西側のバスク地方に住む民族)の船乗りがこの地で捕鯨活動を行っていました。やがて彼らはここに捕鯨基地を築き、港は「グラン・ベイヤ」と呼ばれました。

当時はここを拠点に捕鯨や食肉の処理、鯨油の生産と貯蔵などが行われていました。やがてヨーロッパでは鯨油が灯火用の油として利用されるようになると、重要な供給源として大いに繁栄。しかし、16世紀の終わりには乱獲によってクジラの生息数が激減したために使用されたのは70年程度。現在はオーブンや波止場、精錬所、樽製造所、居住区、墓地などが遺跡として残り、当時使用されていた難破船が浮かんでいて、海底にはクジラの骨が堆積物として埋もれています。

レッド・ベイのバスク人捕鯨基地はどんな理由で世界遺産に登録されているの?

レッド・ベイのバスク人捕鯨基地
画像素材:Zorion,CC-BY-SA(Wikimedeia Commmons)

レッド・ベイが評価されたのが、以下の点。

登録基準(iii)
レッド・ベイのバスク人捕鯨基地は、バスク人によって16世紀に設立され、ヨーロッパで流通した鯨油の生産のための捕鯨の伝統が見られ、当時各地で建造された捕鯨基地の中でも保存状態がよく規模も広大であるという点。

登録基準(iv)
レッド・ベイのバスク人捕鯨基地は、16世紀に設立された鯨油の生産のための施設であり、原始的な産業構造の確立を示すものであるということ。

世界遺産マニアの結論と感想

レッド・ベイは、バスク人によって設立された捕鯨基地であり、16世紀にヨーロッパで広く使用された鯨油の生産拠点としてその構造が現在も残され、これらは産業革命が起こる前の原始的な産業構造が見られるものであるという点で評価されています。

ちなみに、現代の日本だと植物油が割と安価で入手できますが、江戸時代は高級品でなかなか手に入らず、庶民は鯨油が安価で手に入ることから、行灯(あんどん)などに利用されていました。「クジラを食べたら匂いが行灯臭かった」といった内容の川柳も存在するほどに普及した身近なアイテムだった様子。

※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。

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この記事を書いた人

世界遺産一筋20年以上!遺跡を求めて世界を縦横無尽で駆け抜ける、生粋の世界遺産マニアです。そんな「世界遺産マニア」が運営するこちらのサイトは1100以上もある遺産の徹底紹介からおもしろネタまで語り尽くすサイト。世界遺産検定一級取得済。

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