デンマーク・グリーンランドの世界遺産「アーシヴィスイト=ニピサット、氷と海の間のイヌイットの狩場」とは?世界遺産マニアが解説

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登録区分文化遺産
登録基準(5)
登録年2018年

グリーンランド西部に位置するアーシヴィスイトからニピサットにいたる7つものエリアは、4200年にわたる人類の足跡が残ります。ここは狩猟や移動、気候、航海、医学に関する無形・有形の文化遺産が残るという文化的景観が見られ、古くにこの地に住んでいたバレオ・イヌイットと現在のイヌイットの文化を伝える遺跡や冬に暮らす家、カリブー(トナカイ)の狩猟の跡が点在。

ここではアーシヴィスイト=ニピサット、氷と海の間のイヌイットの狩場がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、アーシヴィスイト=ニピサットについて詳しくなること間違いなし!

目次

アーシヴィスイト=ニピサット、氷と海の間のイヌイットの狩場とは?

アーシヴィスイト=ニピサット、氷と海の間のイヌイットの狩場
画像素材:Algkalv(Wikimedia Commons)

グリーンランドの西海岸はフィヨルドが続き、陸の先へ進むと氷床へと至る厳しい土地。この地には4200年もの長い歴史が見られ、漁・狩猟・採集文化や、季節による移動・定住など、人々が暮らしていたという有形・無形文化遺産を含めた文化的景観が見られることから評価。登録エリアには、イヌイットが冬に暮らしていた共同住宅とカリブー(トナカイ)の狩猟の跡が残り、サッカク文化(紀元前2500〜700年ころ)、ドーセット文化(紀元前800〜100年ころ)、トゥーレ・イヌイットの文化(13世紀以降)、18世紀の植民地時代まで、それぞれの遺構が見られます。

世界遺産としては、西のニピサット島から東の氷冠に近いアーシヴィスイトまで7つのエリアが登録されていて、遺構には人々がカリブーなどを狩猟をしながら季節ごとに移動して暮らしていた様子を現在に伝えています。アーシヴィスイと二ピサットは、現在のトゥーレ人(イヌイット)以前にこの地に住んでいたバレオ・イヌイットと、トゥーレ人の文化を伝える遺跡が点在。他には、冬に暮らす家やカリブー(トナカイ)の狩猟の跡などが残ります。

アーシヴィスイト=ニピサット、氷と海の間のイヌイットの狩場はどんな理由で世界遺産に登録されているの?

アーシヴィスイト=ニピサット、氷と海の間のイヌイットの狩場
画像素材:Chmee2/Valtameri(Wikimedia Commons)

アーシヴィスイト=ニピサットが評価されたのが、以下の点。

登録基準(v)
アーシヴィスイトとニピサットを含むエリアは、この地域に暮らす人類の移動生活の伝統を示し、ここは数千年に渡って文化と自然の融合が見られ、大自然の中で無形文化遺産やイヌイットによる継続的な狩猟・移動の跡など、独特の文化的景観が広がっています。彼らは海岸と内陸を東西に往来し、ここにはかつて暮らしていたバレオ・イヌイットと現在のイヌイットの文化の記録を残し、彼らが北極圏で狩猟・漁・採集をしながら生活を続けてきたということを証明するものであるということ。

世界遺産マニアの結論と感想

非常に分かりづらい世界遺産ですが、グリーンランド西部では、テントや野営地の跡が残り、イヌイットが古くから暮らしていて、彼らは海岸と内陸を移動しながら動物を狩りをしたりして生活した様子を残しているという点で評価されています。

ちなみに、現在のグリーンランドに住むのは、カラーリットと呼ばれるイヌイットたちですが、実は現在のグループは13世紀ころにアメリカ大陸からグリーンランドに到達したトゥーレ人の末裔で、それ以前にグリーンランドに住んでいたイヌイットとは遺伝的に完全に違うもの。民族的にはイヌイット系なんですけど、結構複雑な歴史を経て現在に至っています。

※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。

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この記事を書いた人

世界遺産一筋20年以上!遺跡を求めて世界を縦横無尽で駆け抜ける、生粋の世界遺産マニアです。そんな「世界遺産マニア」が運営するこちらのサイトは1100以上もある遺産の徹底紹介からおもしろネタまで語り尽くすサイト。世界遺産検定一級取得済。

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