登録区分 | 文化遺産 |
登録基準 | (1), (2), (4) |
登録年 | 1995年 |
シエーナはトスカーナ州中部にある中世の町並みを残す都市。近くにあるフィレンツェと争いながら、12〜15世紀に栄えた都市国家には、ゴシック様式の壮麗な建設物が多く造られました。そして、現在も当時の雰囲気を残すカンポ広場は「世界で最も美しい広場」と讃えられるほど。
ここでは、シエーナ歴史地区がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、シエーナ歴史地区について詳しくなること間違いなし!
シエーナ(シエナ)歴史地区とは?
イタリアの古都であるシエーナはトスカーナ州中部の丘の上にあります。シエーナの起源ははっきりとは分かりませんが、12世紀には自治共同体である「コムーネ」により金融で発展した都市になりました。近隣のピサやフィレンツェと競いながら、13世紀には最盛期を迎えます。しかし、14世紀になるとペストの流行で街は衰退。16世紀にはフィレンツェに併合することになってしまいます。
街は3つの丘を中心に作られ、7kmもの城壁に囲まれています。壁の中には宮殿や教会、大きな塔などが築かれ、十字軍の時代に導入されたゴシック様式の建築物が立ち並びます。その後、ルネサンス時代以降もゴシック様式をベースに改築されるように。シエーナは中世当時の様子を現在に残しており、芸術や建築、都市計画などの点でイタリアやヨーロッパ各地で建造された都市に大きな影響を与えてきました。
登録されている主な構成資産
ドゥオーモ(シエナ大聖堂)
シエーナの繁栄を今にも伝える大聖堂。9世紀に聖堂があったとされており、現在の大聖堂はその上に建てられたとされています。着工は1220年代で、当初はロマネスク建築で建造されたものの、ゴシック建築も取り入れているため、ゴシック様式に分類されることが多い傾向に。入口にあるファサードはゴシック建築家ジョヴァンニ・ピサーノ(1250年頃〜1315年頃)によって建造。
預言者や使徒の彫刻が施されたファサードはイタリアで最も美しいとされます。大聖堂内部は、白と黒の大理石による横縞模様でユニーク。ここではシエーナ派と呼ばれる芸術家グループによる作品が多く作られました。
カンポ広場
「世界で最も美しい広場」と讃えら、中世の広場としてはヨーロッパ最大。シエーナは3つの丘の上に作られた街で、カンポ広場はそれが合流する窪地に作られ、扇形になっています。そして、扇の中心に向かって傾斜地になっているのも特徴。
マンジャの塔
カンポ広場に面した市庁舎に14世紀に建てられた塔。街で一番高い建造物で高さは102m。ここからはカンポ広場を見下ろすことができるため、観光客に好評です。
シエーナ(シエナ)歴史地区はどんな理由で世界遺産に登録されているの?
シエーナ歴史地区が評価されたのが、以下の点。
登録基準(i)
シエーナの旧市街に残る建築物は、都市の発展によって次々と美しいものが築かれ、これらは人類の創造性の証であるという点。
登録基準(ii)
シエーナの芸術や建築、都市計画などは13〜17世紀の間、イタリアとヨーロッパの諸都市に大きく影響を与えたということ。
登録基準(iv)
シエーナは中世の町並みを今も残し、現在では中世とルネサンス時代の暮らしが分かる貴重な街になったということ。
世界遺産マニアの結論と感想
シエーナは、自治都市時代の建造物の保存状態がよく、旧市街が綺麗に残っているという点で評価されています。そして、自治都市として繁栄したシエーナで生まれた文化はイタリアを含めてヨーロッパ中に広まったという点もポイント。
ちなみに、カンポ広場はなんと馬場としても利用されることもあります。それは「シエーナのパーリオ」というイベントで毎年2回も行われるということで有名。
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。