日本でも屈指の人気を誇るおかずといえば餃子。もちろん、中国が発祥の料理ではあるのだが、世界三大料理であるトルコ料理にも実は水餃子がある!…といっても、代表的なカイセリ・マントゥはなんとヨーグルトとトマトソースをかけて食べるというから、もはやアジアの餃子という概念が崩れ去ってしまうほどに独特。そんなマントゥとはどんなグルメなのか?
今回は、カッパドキアの世界遺産・ギョレメ国立公園およびカッパドキアの岩石遺跡群の帰りに味わったグルメ「マントゥ」を紹介。世界遺産巡りのついでに味わってほしい「世界遺産級の激ウマ・グルメ」を解説していこう。
トルコの世界遺産「ギョレメ国立公園およびカッパドキアの岩石遺跡群」とは?
カッパドキアとは、アナトリア高原の中央に位置する奇岩地帯のこと。キノコ岩がニョキニョキと大地にいくつもみられるが、これは近隣のエルジエス山(標高3916m)が大噴火して形成された地層が風雨によって削られたことで見られる景観。ということで、エルジエス山こそがカッパドキアの父というべき存在である。
エルジエス山は、カッパドキア側からも眺めることができ、麓はスキー場が多くあることからウインタースポーツの聖地だ。ちなみに、エルジエス山の麓にある大都市カイセリは、この周囲では最も大きな街で、空港があることからカッパドキアの玄関口でもある。あまり日本では知名度がないが、この地方では有名なグルメタウンなのだ。
「ギョレメ国立公園およびカッパドキアの岩石遺跡群」の詳細はこちら
カイセリのマントゥは東方から伝わった餃子の進化系?
カイセリというと、トルコ国内でもマントゥの街としても知られる。専門店もいくつかあり、カイセリに来たらマントゥを食べたいというトルコ人も多いようだ。その噂のマントゥは、なんと中国の餃子(これに関してはマントウ、饅頭や包子など説はさまざま)がシルクロードを通って中央アジアに伝わり、現在のトルコ人のルーツであるトゥルク系の先祖たちがこの地に広めたらしい。そんな悠久の歴史を誇るマントゥは…どんな料理なのか?
専門店でオーダーすると…うん?すごく小さい水餃子にトマトソースにヨーグルトがかかっている!そう、カイセリのマントゥは小麦粉をベースとした生地の中に牛ひき肉、玉ねぎ、パセリ、クミンなどを入れた餡を包んだ料理で、ニンニクの効いたヨーグルトと、バター・トマトペーストを使った油をかけて食べる。いやいや、下手にアレンジされたおしゃれ餃子な感じがして全然餃子感がない…。
が、食べてみると…これはこれでアリ!ラー油のようなピリ辛ソースが割とタンパクなマントゥの味わいを引き締めて、ヨーグルトソースの酸味がまたクセになるのだ。むしろ、餃子と思うから違和感があるだけであって、イタリアンのラビオリと考えれば、割と正当な味わいだぞ!
…これは「世界遺産級」の味わいだ!
トルコではマントゥを上手に作れない嫁は良い嫁にならない?
この地方の変わった習慣として、結婚する際に新婦が新郎の母親のためにマントゥを作り、このマントゥが小さければ小さいほどに料理が上手ということとなり、「良い嫁」という烙印が母親から押されるそうだ。しかし、これはあくまでも食べるためというよりは腕試しといった感じで「一つのスプーンでマントゥが40個のる」ほどに小さければ良いとされるのだが…いや、そうだとしたらもはや「米粒」程度になってしまうので、本当にこんなサイズのマントゥを作れるやつがいるかどうかは不明だが。
まぁ、それくらいカイセリ民はマントゥに関してはこだわりがあり、カッパドキアのレストランでもよくメニューにあるので、わざわざカイセリに行かなくても、その伝統の味わいは楽しめる。レストランでもサイズは小ぶりだが、米粒ほどではないのでご安心を!
世界遺産のついでに世界遺産級のグルメも同時に楽しんでみてはいかが?
※こちらの内容は、あくまでも過去に現地を訪れた際に体験したものであり、最新情報はご自身でご確認ください。