ナイアガラの滝は、国内でも有数の観光地で世界遺産に登録されていると思いきや…実は世界遺産じゃないんです。これだけ有名な観光地なのになぜ?
ここではが、ナイアガラの滝なぜ世界遺産でないのか?世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、ナイアガラの滝について詳しくなること間違なし!
ナイアガラの滝とは?
ナイアガラの滝の場所は?
ナイアガラの滝は、カナダのオンタリオ州とアメリカのニューヨーク州の国境にあり、エリー湖からオンタリオ湖に流れるナイアガラ川にある広大な滝です。滝は川の中央に浮かぶゴート島によって形成され、北側のアメリカ領にあるアメリカ滝(落差58m、幅330m)とブライデルベール滝(落差55m、幅15m)、南側のカナダ領にあるカナダ滝(落差56m、幅675m)によって構成される、スケールな大きな滝。時期にもよりますが、北米で最も水量の多い滝とされています。
滝としての歴史はそれほど深くはなく、1万年前のウィスコンシン氷期に形成されたもので、当時は11kmほど下流にありました。氷河によって台地が削られ、落水によって滝壺が少しずつ拡大し、上部の石灰岩が崩壊して少しずつ上流側に移動して、現在の位置まで達したのです。それもあり、滝の位置は1950年代までは毎年1mずつ移動していましたが、やがては埋没してしまうために現在は毎年3cmずつ移動するように1960年代に工事が行われているのが特徴。
ナイアガラは英語で「ナイアガラ・フォールズ」
ちなみに、カナダ側とアメリカ側も地名としては「ナイアガラ・フォールズ市」となっていて、これはナイアガラの滝から由来します。そもそも「ナイアガラ」という地名は、諸説あってはっきりとしていませんが、おそらくは先住民の言語に由来するもの。
滝は17世紀にフランス人探検家が発見していて、18世紀になると観光が盛んとなり、19世紀にはニューヨーク・セントラル鉄道によって観光開発がされ、鉄橋だけでなく、カジノやホテル、テーマパークなどが滝の両側が建設されていき、観光地として大いに発展してきました。
ナイアガラの滝はなぜ世界遺産として登録されないの?
ナイアガラの滝は観光客には人気のあるスポットではありますが、世界遺産としては登録されていません。これはなぜでしょうか?
実は世界遺産に登録させるには、世界遺産条約の締約国の政府が世界遺産センター(世界遺産委員会事務局)の協力を受けながら世界遺産候補である「暫定リスト」を作成する必要があるのです。つまり、暫定リストに掲載されていない遺産は、世界遺産に推薦することはできません。
理由は定かではありませんが、滝は侵食を防ぐために水量をコントロールしていたり、水力発電所としての利用されていたりと、もはや「自然遺産」という価値はほぼありません。絶景ではあるのですが、絶景という点だけでなく、普遍的価値をどこかに見出す必要があり、そういった意味では自然遺産としての登録は現状としては難しいところ。さらには、観光業も盛んで周囲はカジノやテーマパークがあるため、景観という意味でも評価は難しいでしょう。
世界遺産マニアの結論と感想
残念ながらナイアガラの滝は世界遺産ではありませんが…しかし、それは現段階の話。これからアメリカとカナダの両政府が推薦するかもしれないですし、民間の間で世界遺産への登録運動が発生するかもしれないですし…世界遺産になる可能性は、あくまでも「これから」なのです。
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。