奈良県の世界遺産候補「山田寺跡」とは?世界遺産マニアが解説

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登録区分(暫定リストに記載)文化遺産
登録基準(暫定リストに記載)(2),(3),(4),(5),(6)
申請年(暫定リストに記載)2007年

山田寺跡は「飛鳥・藤原の宮都とその関連資産群」の構成遺産の一つ。7世紀半ばに創建と古い寺院で金堂や五重塔を持つ大型の伽藍でしたが、現在はほぼ遺構が残るだけ。ところで、山田寺跡はなぜ世界遺産候補なのでしょうか?

ここでは山田寺跡がなぜ世界遺産候補なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、山田寺跡について詳しくなること間違なし!

目次

山田寺跡とは?

山田寺跡

奈良県桜井市山田にある遺構で、現在は法相宗の寺院の敷地となっています。ここは飛鳥京の東側にあった寺院で、蘇我倉山田石川麻呂(そがのくらやまだ の いしかわまろ、不明〜649年)の発願により7世紀半ばに建立され、この地に金堂を中心とした伽藍が築かれましたが、石川麻呂が649年に自害したために造営は一時中断され、すべてが完成したのが7世紀後半となっています。

伽藍は11世紀ころまでは存在していたことが記録が分かっていますが、12世紀になると現在の奈良市にある興福寺の僧兵が押し入り、講堂にあった薬師三尊像を強奪したという事件が記録されていて、この頃に焼き討ちに遭い、その後は再興されたたものの、明治時代の廃仏毀釈で廃寺とされました。現在は講堂付近に観音堂と庫裏(くり)が残るだけ。20世紀からは発掘調査が行われ、ここは回廊が金堂と講堂の間を通り、講堂が回廊の外側に位置するという「山田寺寺院伽藍」という独自の様式を持っていたということが分かりました。

山田寺跡はどんな理由で世界遺産に登録される予定なの?

山田寺跡

日本政府が提出したの暫定リストに記載されている登録基準としては、以下の点。
※これらは2007年に暫定リストに記載された、日本における基準です。

登録基準(ii)
文化の交流を示すもの

登録基準(iii)
現存or消滅した文明の証拠

登録基準(iv)
人類の歴史を象徴する建築物の代表的な段階や景観の見本

登録基準(v)
伝統的集落や人類と環境の交流の見本

登録基準(vi)
人類史上に残る出来事や現存する伝統、思想、信仰、芸術

世界遺産マニアの結論と感想

山田寺は、日本でも最古級の本格的な寺院建築の一つで、発掘調査によって、寺院の建築様式が明らかになり、当時の文化や技術が分かるという点で貴重なもの。

ちなみに、奈良市の興福寺には「山田寺仏塔」という仏像の頭部が発見されましたが、これはもともと山田寺の講堂にあった薬師如来であったとされていて、国宝に登録されています。そして、両脇侍の日光菩薩と月光菩薩も興福寺にあり、どうやら興福寺の末寺(まつじ)になってしまったようで、貴重なものはすべて興福寺に持っていかれた様子。なんだか切ない話ですが、結果的には仏像は大事にされ、現在まで残されたという面も。

※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。

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この記事を書いた人

世界遺産一筋20年以上!遺跡を求めて世界を縦横無尽で駆け抜ける、生粋の世界遺産マニアです。そんな「世界遺産マニア」が運営するこちらのサイトは1200以上もある遺産の徹底紹介からおもしろネタまで語り尽くすサイト。世界遺産検定マイスター認定済。

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