イエメンの世界遺産「ソコトラ群島」とは?世界遺産マニアが解説

登録区分自然遺産
登録基準(10)
登録年2008年

ソコトラ群島は、アラビア半島とアフリカ大陸の間に浮かぶ島々。ここは太古の昔から独自の生態系が築かれていて、植物の37%、爬虫類の90%など、固有種が多く見られます。そして、島のシンボル的存在であるリュウケツジュは、古代からその樹脂が利用されていて、ギリシャでも高級な薬品として有名でした。

ここでは、ソコトラ群島がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、ソコトラ群島について詳しくなること間違いなし!

目次

ソコトラ群島とは?

ソコトラ群島
画像素材:shutterstock

ソコトラ群島は、アラビア半島から南へ約300km、アフリカ大陸東端のアシール岬からも240kmも離れた島々。ここは古代からギリシャ人やインド人、アラブ人が交易の中継基地として使用されてきました。

ソコトラは、4つの島と2つの岩で構成されています。ここは石灰岩の大地と海岸沿いの狭い平野、山脈、地下洞窟など、変化に富んだ地形となっていて、固有の動植物が多く生息。

ここは2300万〜500万前頃に大陸から離れたことによって、長い期間、本土の影響力を受けずに独自の生態系を築いてきました。植物の37%、爬虫類の90%、陸産貝類の90%などが固有種で、他では見られない生態系を持つのが特徴。特に鳥類は絶滅危惧種を含めて192種も見られます。さらに、島の周囲の海洋生物も非常に種類が多く、730種もの魚類が生息。

しかし、地球温暖化によって島は乾燥が進んでしまい、絶滅の危機にあります。

ベニイロリュウケツジュ(竜血樹)

ソコトラ群島
画像素材:shutterstock

ソコトラのシンボル的な存在であるのが、リュウゼツラン科のリュウケツジュ。これは世界でもソコトラ群島を含む紅海とインド洋周辺、アフリカ西岸に浮かぶ島々でしか見られない、枝と葉の部分がキノコのように見られる樹木。特に、ベニイロリュウケツジュはソコトラ群島の固有種。

竜血(シナバル)という赤い樹脂が、止血や消炎に効果があることから薬品として利用され、その色味から染料としても使用。古代ギリシャでも記録され、竜と象が戦ってその地から生えてきたという伝説も残り、島の数少ない特産品でもありました。

ソコトラ群島はどんな理由で世界遺産に登録されているの?

ソコトラ群島
画像素材:shutterstock

ソコトラ群島が評価されたのが、以下の点。

登録基準(x)
ソコトラ群島の生物多様性と絶滅危惧種も含む固有種は、大変希少であるという点。

世界遺産マニアの結論と感想

島としてはこれといった資源はないものの、動植物にとっては外敵の少ないパラダイスでもあり、生物多様性と絶滅危惧種も含む固有種の2つの点で評価されています。

ちなみに、ベニイロリュウケツジュは、こんな乾燥した大地にたくさん生えているのに、なぜこんなに立派に育つかというと、朝になると発生する霧から葉に結露し、それを吸収して水分を得ているのです。

※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。

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この記事を書いた人

世界遺産一筋20年以上!遺跡を求めて世界を縦横無尽で駆け抜ける、生粋の世界遺産マニアです。そんな「世界遺産マニア」が運営するこちらのサイトは1100以上もある遺産の徹底紹介からおもしろネタまで語り尽くすサイト。世界遺産検定一級取得済。

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