ベルギーの世界遺産「プランタン=モレトゥスの家屋・工房・博物館複合体」とは?世界遺産マニアが解説

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登録区分文化遺産
登録基準(2), (3), (4), (6)
登録年2005年

ベルギー北部の港町・アントワープは、16世紀にパリやヴェネツィアと並ぶ、ヨーロッパでも印刷が盛んな都市でした。クリストフ・プランタンが開いた印刷工房は、世界最古の印刷機があり、当時のヨーロッパにおける最大の印刷所でした。その後、彼の義理の息子であるヤン・モレトゥスが造本技術を向上させたものの、19世紀に廃業し、現在は博物館となっています。

ここではプランタン=モレトゥスの家屋・工房・博物館複合体がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、プランタン=モレトゥスの家屋・工房・博物館複合体について詳しくなること間違いなし!

目次

プランタン=モレトゥスの家屋・工房・博物館複合体とは?

プランタン=モレトゥスの家屋・工房・博物館複合体
画像素材:shutterstock

アントワープ(アントウェルペン)はベルギー第2の都市で、ここは16世紀にパリやヴェネツィアと並ぶ、ヨーロッパでも印刷が盛んな都市で、文化と経済の中心地でした。16世紀にクリストフ・プランタンが開業した印刷出版工房である「オフィキナ・プランティニアナ」は、スペインの王家も利用するほどに装丁などが美しく、ここで印刷される本は人気があったのです。

彼の死後、義理の息子であるヤン・モレトゥスによって、印刷会社が設立されました。300年ほど出版事業は続けられ、技術は向上するもののの、19世紀後半には技術革新には対応できずに廃業。1876年にはアントワープ市に売却され、工房と家屋をあわせて博物館として公開されました。工房と家屋は何世紀に渡って増築を重ね、16世紀から使用されていた世界最古の印刷機と印刷用活字一式、当時の印刷に関連する設備が現在でも残ります。

プランタン=モレトゥスの家屋・工房・博物館複合体はどんな理由で世界遺産に登録されているの?

プランタン=モレトゥスの家屋・工房・博物館複合体
画像素材:shutterstock

プランタン=モレトゥスの家屋・工房・博物館複合体が評価されたのが、以下の点。

登録基準(ii)
プランタン=モレトゥスの家屋・工房・博物館複合体は、16世紀に流行したヨーロッパの人文主義の中心で、科学と文化の発展に重要な役割を果たしたという点。

登録基準(iii)
プランタンが出版した聖書や会計記録、知識人の書簡など、2001年にユネスコの「世界の記憶」にも登録されていて、これらは人文主義の文化的伝統が見られるということ。

登録基準(iv)
プランタン=モレトゥスの家屋・工房・博物館複合体からは、16〜18世紀における、ルネサンスやバロック、古典主義などのヨーロッパの歴史における重要な時期の人々の生活や仕事、商業の様子などが見られるという点。

登録基準(vi)
プランタン=モレトゥスの家屋・工房・博物館複合体は、思想や印刷技術を通じて、さまざまな文学や芸術作品と関連しているということ。

世界遺産マニアの結論と感想

プランタンが開いた「オフィキナ・プランティニアナ」では、聖書や会計記録、知識人の書簡などが印刷され、これらは当時のヨーロッパがキリスト教的概念を越え、科学と文化が発展していく段階を示すという点で評価されています。博物館として残る家屋や工房は、当時の人々の暮らしが見られ、さらにここで出版された著名な作品や記録などとも密接に関わっているというのがポイント。

ここでは、有名な著作が印刷されましたが、その中には預言者として有名なノストラダムスの『化粧品とジャム論』という本がります。彼は預言者という面が日本では有名ですが、実は医師でもあり、料理研究者としても名を馳せているのは、割と知られていないところ。これは何度も重版されたヒットセラーになっています。

※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。

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この記事を書いた人

世界遺産一筋20年以上!遺跡を求めて世界を縦横無尽で駆け抜ける、生粋の世界遺産マニアです。そんな「世界遺産マニア」が運営するこちらのサイトは1100以上もある遺産の徹底紹介からおもしろネタまで語り尽くすサイト。世界遺産検定一級取得済。

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