インドの世界遺産「ラージャスターン州のジャイプル市街」とは?ピンクシティと呼ばれる街を世界遺産マニアが解説

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登録区分文化遺産
登録基準(2),(4),(6)
登録年2019年

インド北西部のラージャスターン州のジャイプルは、1727年にワーイー・ジャイ・シング2世によって建造された比較的新しい都市。インドで初めて都市計画に従って築かれた都市で、19世紀後半からピンク色の塗装が施されるようになると、街は「ピンクシティ」と呼ばれるようになりました。

ここでは、ラージャスターン州のジャイプル市街がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、ジャイプルについて詳しくなること間違いなし!

目次

ラージャスターン州のジャイプル市街とは?「ピンクシティ」と呼ばれる理由は?

シティ・パレス/ラージャスターン州のジャイプル市街
画像素材:shutterstock

ラージャスターン州の州都であるジャイプルは、「ピンクシティ」として観光客にも人気の都市。ここは、1727年にこの地方を治めていたアンベール王国のマハラジャ(藩王)であったサワーイー・ジャイ・シング2世によって築かれました。もともとは北東に約11kmにあるアンベールに王都があったのですが、人口増加と水不足によって、新しい都市へと遷都する必要があったのです。

ジャイプルとは、ジャイ・シング2世の「ジャイ」から由来していて「ジャイの町」という意味。ここはそれまでの山岳地帯に築かれた要塞都市とは異なり、交易を目的とした都市で平野に建造されました。区画は碁盤の目のようになっていて、こうした計画都市はインドでも初の取り組みでもありました。

ジャイタル・マンタル/ラージャスターン州のジャイプル市街
画像素材:shutterstock

特にジャイ・シング2世は、科学者でもあり、改革者でもありました。彼は王宮の近くに最先端の天文台ジャイタル・マンタルなどを設立し、科学を推奨したことでも知られます。19世紀後半に英国王太子がジャイプルを訪れた時に、ピンク色に建造物を塗ったことからピンク色の塗装を施すのが伝統となり、現在では「ピンク・シティー」と呼ばれる景観を持つようになりました。

登録されている主な構成資産

シティ・パレス

シティ・パレス/ラージャスターン州のジャイプル市街
画像素材:shutterstock

18世紀年にジャイ・シング2世によって建造された宮殿。ここは、ラージャスターンの伝統様式にムガル帝国とヨーロッパの建築様式が混ざったもの。白く輝く7階建てのチャンドラ・マハルは現在も藩王の子孫の住居になっていて、1階だけが公開されています。

19世紀末に建造された迎賓館であるムバラク・マハル、20世紀に築かれた豪華な吹き抜けの建造物であるディワニ・カースも有名。

ハワー・マハル(風の宮殿)

ハワー・マハル(風の宮殿)/ラージャスターン州のジャイプル市街
画像素材:shutterstock

1799年に当時の藩王だったプラタープ・シングによって建造されたもので、ピンク色の砂岩を使用した5階建ての建造物。ここはシティ・パレスの一部となっていて、953もの小窓が設置されています。これは宮廷の女性たちが街の様子を見たり、お祭りを眺めたりするために設置されたもの。

ジャイプルのジャンタル・マンタル

ジャイ・シング2世により、18世紀初頭に建てられた天文観測施設群。肉眼で天体観測ができるような施設を築かれ、特にジャイプールのものはインドの天文台の中でも最も重要で保存状態が良いもの。

これはシティ・パレス内にある施設ですが、2010年に宮殿内の天文台観測施設だけが「ジャイプルのジャンタル・マンタル」として先に世界遺産に登録されました。

ラージャスターン州のジャイプル市街はどんな理由で世界遺産に登録されているの?

ハワー・マハル(風の宮殿)/ラージャスターン州のジャイプル市街
画像素材:shutterstock

ジャイプルが評価されたのが、以下の点。

登録基準(ii)
ジャイプルは、ラージャスターンやムガル帝国、そしてヨーロッパの建築様式を取り入れ、計画都市を築き、この商業都市のモデルは西インドにも影響を与えていったという点。

登録基準(iv)
インド初の計画都市で、碁盤の目のような区画に宮殿や庭園、寺院、バザールなどを配していて、インドの建築史において重要な例となっているということ。

登録基準(vi)
ジャイプルには、36もの産業があり、ジュエリー、彫刻、ミニチュア絵画など工芸が盛んな町で、学校や商業組合などがあり、一部の産業は伝統工芸となり、今でも職人たちが町の建造物を修復し続けているという点。

世界遺産マニアの結論と感想

ジャイプルは、18世紀にインド初の都市計画のもとに作られた都市でありながらも、伝統的なラージャスターンやムガル帝国の建築様式にヨーロッパの建築法なども入っていて、その後の西インドの商業都市のモデルになったという点で評価。そして、町は職人たちによって今でも伝統建造物が修復され、維持されているというのもポイント。

ちなみに、「○○・シティー」と町のカラーで呼ばれる都市は、ラージャスターン州にはたくさんあり、ジョードプルはブルー・シティー、ウダイプルはホワイト・シティーと呼ばれているのです。さらに、ジャイサルメールは黄色の砂岩で作られていることから、ゴールデン・シティーと呼ばれますが、少し無理矢理感…。

※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。

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この記事を書いた人

世界遺産一筋20年以上!遺跡を求めて世界を縦横無尽で駆け抜ける、生粋の世界遺産マニアです。そんな「世界遺産マニア」が運営するこちらのサイトは1100以上もある遺産の徹底紹介からおもしろネタまで語り尽くすサイト。世界遺産検定一級取得済。

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