登録区分 | 文化遺産 |
登録基準 | (1), (2), (4) |
登録年 | 1997年 |
オランダといえば風車のイメージですが、世界遺産に登録されているのはキンデルダイク=エルスハウトのもの。オランダは英語ではネーデルラント(低い土地)と呼ばれ、古くから水害に悩まされる土地でした。キンデルダイク=エルスハウトでは、現地に住む人々が排水と農業のために作り出した19基の風車が残っています。
ここでは、キンデルダイク=エルスハウトの風車網がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、キンデルダイク=エルスハウトの風車網について詳しくなること間違いなし!
キンデルダイク=エルスハウトの風車網とは?なぜ風車が必要だった?
オランダ南部ロッテルダムから南東約13kmの位置にあるキンデルダイク。古くからオランダの人々は浸水に悩まされており、農業のため排水するという行為は何世紀にも渡って行われました。その問題を解決するのが「風車」の建設だったのです。
このあたりの排水システムの構築は中世から始まり、現在まで行われています。12世紀に十字軍を通して風車はオランダに伝わり、ここでは排水用に改良され、18世紀には今も見られる排水用の風車が作られました。これは水害を防ぐだけでなく、農業や牧畜業の技術革新に大いに貢献。
特にキンデルダイク=エルスハウトの風車は19基登録されていて、十字型の1枚14mの4枚の羽がついた風車は、風力発電と同じように歯車を回転させて水を低地から移動させていたのです。この風車を使って排水を行うというシステムはオランダならではのアイデアでした。
キンデルダイク=エルスハウトの風車網はどんな理由で世界遺産に登録されているの?
キンデルダイク=エルスハウトの風車が評価されたのが、以下の点。
登録基準(i)
排水用の風車は1000年に渡るオランダ人の知恵と不屈の精神を証明する景観という点。
登録基準(ii)
オランダの排水地の開発は世界の多くの地域で採用されている優れた例であるということ。
登録基準(iv)
キンデルダイク=エルスハウトの風車は現在でも稼働してます。技術的にも非常に独的なシステムであり、人類の建築史の重要な段階を示しているという点。
世界遺産マニアの結論と感想
農地に風車というのは、日本人が思うオランダのイメージ通りの景観ですが、これは製粉用のものではなく、排水用に作られたもの。湿地帯だらけだったオランダはオリエントから伝えられた風車によって農業地を開拓して、農業大国になったのです。オランダ人からすれば、現代のオランダがあるのも風車の恩恵とも言えますね。
しかし、現在の排水システムは風力から電力になったため、かつて1万はあったとされる風車はオランダからほとんど姿を消しました。キンデルダイクは現在でも稼働している上に綺麗に残っているということだけでも貴重なんですよ。
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。