スペイン・スロヴェニアの世界遺産「水銀の遺産アルマデンとイドリヤ」とは?世界遺産マニアが解説

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登録区分文化遺産
登録基準(2), (4)
登録年2012年

古代から水銀が採掘されてきたスペインのアルマデンと15世紀に水銀が発見されたスロヴェニアのイドリヤが合わせて登録。かつてのスペイン領だった2つの鉱山は世界でも最大の水銀鉱山だった場所で、ここで採掘された水銀は新大陸へ渡り、銀の精錬に使用されました。これによって貨幣の増産が促進され、やがて世界中で貨幣経済が定着していったという経緯も見られます。

ここでは水銀の遺産アルマデンとイドリヤがなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、アルマデンとイドリヤについて詳しくなること間違なし!

目次

水銀の遺産アルマデンとイドリヤとは?

画像素材:shutterstock

スペインのアルマデンとスロヴェニアのイドリヤは、ハプスブルク家出身のスペイン国王・フェリペ2世の時代は2ヶ所ともスペイン領でした。「太陽の沈まぬ国」として世界中に植民地を持つスペインは16世紀後半、最盛期を迎え、南米の植民地では銀鉱山が発見。

当時の銀の精製には、アマルガム法という水銀を活用する方法が採用されていました。これは鉱石と水銀、水を撹拌して精製するアマルガムという鉱石から銀を精製するという方法。よって水銀の需要が上がったという背景があります。

水銀は比較的希少な金属で、当時の世界経済は貨幣の需要が上がっていき、アルマデンとイドリヤは、水銀の精錬を中心としたシステムを築き上げ、発展していったのです。そして、水銀の生産により、経済の主導権を得たこの2つの鉱山は、大陸間交易の中心となりました。しかし、水銀は毒性が強く、現在は使用は禁止にされる傾向にあり、この2つは消え行く産業遺産でもあります。

アルマデン/スペイン

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スペインの内陸部にあり、カスティーリャ=ラ・マンチャ州シウダ・レアル県にある鉱山町。水銀の採掘は古代ローマまで遡るというほどの歴史深い鉱山町。16世紀にはフッガー家が鉱山を開発すると、17世紀に直接経営となりました。しかし、17世紀になると生産量は減少し続けたものの、2004年まで世界最大の水銀生産地でした。

旧市街には、礼拝堂、水銀の販売所、旧監督官邸宅などがあり、水銀生産の場であったブスタマンテ炉などが残っています。そして、鉱夫のために建造された病院や娯楽のための闘牛場なども登録。

イドリヤ/スロヴェニア

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スロヴェニア西部の鉱山町で15世紀に水銀鉱山が発見されると、17世紀には採掘量がピークになるものの、アルマデンの5分の1程度の生産量であり、アルマデンの補助的な存在でしたが、19世紀にはアルマデンに次いで世界で2番めの大きな水銀鉱山となりました。しかし、鉱山は1994年に停止します。

旧市街はバロック建築の鉱物取引所や坑道などが残り、鉱夫たちのための鉱山劇場なども見られます。精錬施設と木材を運ぶための水路や関連施設も登録。

水銀の遺産アルマデンとイドリヤはどんな理由で世界遺産に登録されているの?

画像素材:shutterstock

アルマデンとイドリヤが評価されたのが、以下の点。

登録基準(ii)
水銀の鉱山は非常に少なく、アルマデンとイドリヤは、水銀を欲した新大陸の金と銀の鉱山と、技術や経済、財政などの側面で国際交流が行われていたということ。

登録基準(iv)
アルマデンとイドリヤの水銀鉱山は、水銀を生産するための技術や社会システムなどが見られ、かつて繁栄した水銀が採掘できる鉱山町として重要な遺産であるという点。

世界遺産マニアの結論と感想

アルマデンとイドリヤの水銀鉱山は、世界でも珍しい水銀鉱山で、16世紀に新大陸で金と銀の鉱山が多く発見されると急激に需要が高まり、技術や財政の面で、新大陸との交流が見られるという点で評価されています。そして、2つの鉱山町は新大陸との取引で大いに繁栄し、豪華な建築物や高度な精錬施設、鉱夫のための娯楽施設などが作られたというのもポイント。

水銀というとどんなものかイメージできないかもしれませんが、実は奈良の東大寺の廬舎那仏像(奈良の大仏)もアマルガム法で精製したもの。かつては金メッキで塗っていたそう。

※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。

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この記事を書いた人

世界遺産一筋20年以上!遺跡を求めて世界を縦横無尽で駆け抜ける、生粋の世界遺産マニアです。そんな「世界遺産マニア」が運営するこちらのサイトは1100以上もある遺産の徹底紹介からおもしろネタまで語り尽くすサイト。世界遺産検定一級取得済。

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