登録区分 | 文化遺産 |
登録基準 | (2), (4), (6) |
登録年 | 2021年 |
スペインの首都マドリード(マドリッド)の中心部にあるプラド通りは、博物館や植物園など、芸術と科学が共存する都市の景観が見られるというエリア。ここはスペイン国内やラテンアメリカの都市設計のモデルともなったという点でも評価されています。
ここではパセオ・デル・プラド(プラド通り)とブエン・レティーロ、芸術と科学の景観がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、パセオ・デル・プラドとブエン・レティーロについて詳しくなること間違いなし!
マドリードのパセオ・デル・プラド(プラド通り)とブエン・レティーロ、芸術と科学の景観とは?
マドリードの中心部に位置するプラド通りは、シベレス広場とアトーチャ駅の間に位置する、約1kmほど続く並木通りのこと。これは16世紀に建造されたヨーロッパ初の並木通りで、木々や噴水などを配し、市民がゆっくりと過ごす空間として建造。
プラド通りは、国立プラド美術館や王立植物園、王立天文台など、芸術と科学が共存する都市計画のモデルともなりました。当時はヨーロッパの啓蒙主義の全盛期でもあり、科学の発展を促進するという一面も。
ブエン・レティーロ公園は、マドリードでも最大の公園の一つ。もともとは修道院が建造された場所に宮殿などが加えられ、17世紀に運河や水路、池などが配された広大なルネサンス様式の庭園となり「世界の驚異」と呼ばれたほど。現在は公園として1万5000本以上の木々が並ぶ市民の憩いの場でもあります。
この都市設計は、スペインだけではなく、ラテンアメリカのスペインの植民都市にも広がっていったというのもポイント。
パセオ・デル・プラド(プラド通り)とブエン・レティーロ、芸術と科学の景観はどんな理由で世界遺産に登録されているの?
パセオ・デル・プラドとブエン・レティーロが評価されたのが、以下の点。
登録基準(ii)
プラド通りを中心とした都市設計は、スペイン帝国の理想的な景観であり、これはスペインだけでなく、ラテンアメリカで大きな影響を与えたということ。
登録基準(iv)
プラド通りには18世紀の絶対王政時代の都市開発が見られ、道路沿いの建築物は芸術や科学に特化した施設が並ぶという点。
登録基準(vi)
芸術や科学に施設が並ぶという景観は、スペイン帝国最盛期の理想的な社会への実現を目指していて、国民の啓蒙に繋がっていったということ。
世界遺産マニアの結論と感想
近代的な都市景観という非常に珍しい世界遺産ではありますが、プラド通り沿いには博物館など、芸術や科学に特化した施設が並び、それらは国民の啓蒙に繋がり、国内の都市やラテンアメリカのスペイン植民都市にも影響を与えたという点で評価されています。
実はスペインの世界遺産は49もあるにも関わらず、首都マドリード市内にある世界遺産はこれだけ。西ヨーロッパだと首都に世界遺産がない国は小国を除くとスペインとアイルランドだけだったのです…。ダブリンはいつ世界遺産になるのやら。
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。