登録区分 | 文化遺産 |
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登録基準 | (2), (3), (4), (6) |
登録年 | 2004年 |
花の窟神社(はなのいわやじんじゃ)は「紀伊山地の霊場と参詣道」の構成遺産の一つ。三重県熊野市にあり、社殿はないものの、神話では国生みを行った伊弉諾尊(いなざなみのみこと)の御陵であると信じられてきた場所。ところで、花の窟神社はなぜ世界遺産なのでしょうか?
ここでは花の窟神社がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、花の窟神社について詳しくなること間違なし!
花の窟神社とは?

三重県南部の熊野市にある神社で、神々の母である「伊弉諾尊」が葬られた御陵として、日本最古の神社であるといわれています。『日本書紀』では、出産時に「紀伊国の熊野の有馬村」に埋葬されたという記述があり、住民たちは花を供えて祀ったことから「花を供えた岩屋」というのが由来したという説もあります。



この神社の神体は、高さ約45mの巨大な岩であり、大きなくぼみがある磐座(いわくら)。これは伊弉諾尊の御陵であるとされていて、現在は拝所があります。通常の神社は神殿にさまざまな神具や神器を安置するのに対し、花の窟神社ではこの自然の巨岩そのものが神体として崇拝されているのが特徴。境内には伊弉冉尊の御陵の対面に、その子供である「軻遇突智(カグヅチ)」の御陵も合わせて鎮座しています。
神社の境内に足を踏み入れると、この圧倒的なスケールの岩が訪れる者を迎え、その迫力と神秘的な空気が漂います。それもあり、世界遺産に登録されている熊野古道の一つ「伊勢路」をゆく参詣者にとっても特別な霊場となっていました。
稲荷神社・龍神神社



花の窟の神社の鳥居をくぐると、途中で分岐し、その奥には2つの神社があります。正面を向いて、左が稲荷神社、右の小さな祠が龍神神社。
花の窟神社はどんな理由で世界遺産に登録されているの?



花の窟神社が評価されたのが、以下の点。
登録基準(ii)
紀伊山地に残る霊場と参詣道は、神道と仏教が融合が見られ、東アジアにおける宗教文化の交流と発展を示すということ。
登録基準(iii)
紀伊山地に点在する神社や寺院は、この地の慣習を含めて、1000年以上に渡る日本独自の宗教の発展を示すものであるという点。
登録基準(iv)
紀伊山地は、日本各地の寺社の建築様式に大きな影響を与え、それらの形成のルーツともなっているという点。
登録基準(vi)
紀伊山地の霊場と森林には、1200年に渡って神の宿る地として信仰が維持され、それらが景観に見られるということ。
世界遺産マニアの結論と感想
花の窟神社は、日本でも最古の神社とされるほどに古代から信仰が残り、独自の宗教の発展を示しているという点で評価されています。
ちなみに、磐座の前にある丸石は、かつて巨大な岩から落ちてきたという伝説があり、痛いところを擦ってから触ると治るという言い伝えがあります。しかし、近年はボールのように見えることからソフトボールの選手が必勝参拝に訪れることがあるとか…。
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。