登録区分 | 文化遺産 |
登録基準 | (1), (2), (4), (6) |
登録年 | 1996年 |
厳島神社の本社本殿は「厳島神社」の構成資産の一つ。本殿はご神体のある社殿のことで、ここは古くから宗像三女神を祀っています。ところで、本社本殿はなぜ世界遺産なのでしょうか?意外と知ってそうで知らない!
ここでは厳島神社の本社本殿がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、本社本殿について詳しくなること間違いなし!
厳島神社の本社本殿とは?
厳島神社は、大野瀬戸に面した有浦(ありのうら)と呼ばれる湾の奥に建造された神社。現在の社殿は平安時代末期に平清盛(1118〜1181年)が海上に造営したものがルーツとなっています。祭神は、航海や交通安全の神として有名な市杵嶋姫(いちきしまひめ)、田心姫(たごりひめ)、湍津姫(たぎつひめ)の宗像三女神を祀るもの。
本社は、本殿、幣殿、拝殿、祓殿、高舞台、平舞台で構成され、これらは本殿から海上の大鳥居まで一直線の軸上に並ぶように置かれています。
本殿
本殿は「神がいる」社殿のことで、人が入ることを想定しておらず、厳島神社も同様に入ることができません。内陣には6基の宝殿があるとされ、宗像三女神を祀っていて、他には相殿神と呼ばれる神々を併祀しています。屋根は「両流造(りょうながれづくり)」と呼ばれるもので、前後に流れるような造りであるのが特徴。
拝殿
拝殿は本殿の手前に築かれていて、ここは本殿を拝するという役割を持つ社殿です。本殿は人間が入れませんが、拝殿は出入りが自由になっていて、厳島神社も同様。建造物は入母屋造(いりもやづくり)で、上部は切妻造、下部は寄棟造という構造になっています。
祓殿(はらえどの)
拝殿の手前にあり、お祓いを受ける殿舎のこと。ここには柱の間に建具や壁などがなく、全面吹き放しの建造物となっています。
厳島神社の本社本殿はどんな理由で世界遺産に登録されているの?
本社本殿が評価されたのが、以下の点。
登録基準(i)
厳島神社は貴族の居住空間を神社建築に応用したもので、さらに自然と人工の建築物を組合わせた傑作であるという点。
登録基準(ii)
自然を崇拝する厳島神社の建築様式は、日本人の宗教観を示し、日本の景観美を理解できるものであるということ。
登録基準(iv)
厳島神社は、12世紀後半〜13世紀初頭の建築様式をそのまま保存しており、周囲の風景を組み合わせた神社建築の優れた例であるという点。
登録基準(vi)
日本人の宗教観は、さまざまな神を崇拝するというもので、神道以外にも仏教施設などが存在する厳島はこれを代表するものであるということ。
世界遺産マニアの結論と感想
厳島神社の本社本殿はまさに日本独自の神道による宗教観が見られ、現在は再建されたものですが、平清盛が建造した時代の壮麗な社殿の様子が今でもよく分かるという点で評価されています。
ちなみに、日本の神社建築は、柱の間隔を等間隔にしたりして、左右対称になっていることが多いのですが、厳島神社は本殿と拝殿ともにやや西寄りになっています。本殿から海上の大鳥居まで、社殿が一直線の軸上に並ぶようになっているのですが、なぜか本殿と拝殿だけがややずれているのが特徴。
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。