エジプトの世界遺産「カルナック神殿」とは?世界遺産マニアが解説

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登録区分文化遺産
登録基準(1), (3), (6)
登録年1979年

カルナック神殿は「古代都市テーベとその墓地遺跡」の構成遺産の一つ。ここはエジプト中王国から末期王朝時代まで、最高神アメン・ラー神をまつるために、歴代のファラオが増築を続けた巨大な神殿です。ところで、カルナック神殿はなぜ世界遺産なのでしょうか?

ここではカルナック神殿がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、カルナック神殿について詳しくなること間違いなし!

目次

カルナック神殿とは?

カルナック神殿
画像素材:shutterstock

ルクソール市街から北へ約3kmにある、古代エジプトでも最大規模の神殿。エジプト中王国時代(紀元前2055〜紀元前1650年頃)から建造が始まり、アメン・ラー神、コンス神、ムト神、モンチ神の神殿や聖域など、さまざまな建造物の集合体でもあります。

最大の神殿はアメン大神殿で、それ以外の神殿にはほとんど残存しておらず、カルナック神殿というと一般的にはアメン大神殿を示します。ここは当時信仰されていた最高神アメン・ラーの捧げられた神殿で、歴代のファラオや神官たちによって2000年近くも増改築が行われたもの。

構成としては、東西と南北に延びる2本の軸を持ち、6基の塔門で仕切られています。そして、南北軸にある第7塔門から第10塔門は南のムト神の聖域へと繋がるというもの。

アメン大神殿の大列柱室

アメン大神殿の大列柱室/カルナック神殿
画像素材:shutterstock

カルナック神殿でも最大の見所は、面積5000平方mを越える大列柱室で、これは第2塔門と第3塔門の間にあります。ここには高さ12〜21mの巨大な柱が134本もあり、最大の柱頭の円周は15mもの大きさになっているのが特徴。列柱室はもともと高窓(たかまど)によって採光していたために、神殿名もアラビア語の「カルナック(窓)」に由来しています。

紀元前14世紀に第18王朝のアメンホテプ3世(紀元前1390〜1352年頃)が着工し、現在のものは紀元前13世紀に第19王朝のラムセス2世(紀元前1303年頃〜紀元前1213年頃)の時代に完成したもの。

スフィンクス参道でルクソール神殿と繋がっていた?

アメン神殿第1塔門/カルナック神殿
画像素材:shutterstock

現在のアメン大神殿の入口でもある第1塔門と接続した、羊頭のスフィンクス参道。もともとこれらはラムセス2世の時代に建造されたナイル川沿いの埠頭から第1塔門に通じていて、第2塔門の入口まで繋がっていたとされています。第30王朝(紀元前380年〜紀元前343年)に第1塔門が築かれると、羊頭のスフィンクスは現在の位置に移動され、現在の姿となりました。

ちなみに、副神殿として建造されたルクソール神殿へと繋がっているのは、こちらのスフィンクス参道ではなく、アメン大神殿の第10塔門や南側に位置するコンス神殿から2.4kmも延びる街道。ここは1200体あまりのスフィンクスが並ぶ街道で、2000年代に修復されたもの。

カルナック神殿はどんな理由で世界遺産に登録されているの?

アメン大神殿の大列柱室/カルナック神殿
画像素材:shutterstock

カルナック神殿が評価されたのが、以下の点。

登録基準(i)
テーベに残る神殿や葬祭殿、墓地に関する遺跡は、人類の創造的資質を示すものであるという点。

登録基準(iii)
テーベの古代都市の名残は、エジプト中王国・新王国の文明の存在を示すということ。

登録基準(vi)
神殿にはアメン・ラー神の信仰があり、墓地遺跡には古代エジプトの人々の死後の世界に対する思想などが見られるという点。

世界遺産マニアの結論と感想

カルナック神殿は、かつてテーベと呼ばれた時代のルクソールでも重要な神殿で、中王国・新王国時代のエジプトの繁栄と当時の人々の信仰が見られるという点で評価されています。

ちなみに、スフィンクスというと、ギザの大ピラミッドにあるスフィンクスが有名で、これはネメスと呼ばれる頭巾を付けた王の顔面を持ち、ライオンの姿で有名ですね。ルクソールでは、雄羊の頭のもので、古代エジプトでは割とさまざまな。男性もいれば女性もいるし、動物や鳥の頭部を持ったりと、実はデザインのモチーフは一定でなかった様子。

※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。

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この記事を書いた人

世界遺産一筋20年以上!遺跡を求めて世界を縦横無尽で駆け抜ける、生粋の世界遺産マニアです。そんな「世界遺産マニア」が運営するこちらのサイトは1100以上もある遺産の徹底紹介からおもしろネタまで語り尽くすサイト。世界遺産検定一級取得済。

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