和歌山県の世界遺産「京大坂道（高野参詣道）」とは？世界遺産マニアが解説

京大坂道（きょうおおさかみち）は「紀伊山地の霊場と参詣道」の構成資産の一つ。かつて京都や大阪から続いていた高野街道の終点であり、江戸時代に最も人々が利用した参詣道として知られてます。ところで、京大坂道はなぜ世界遺産なのでしょうか？

ここでは京大坂道がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、京大坂道について詳しくなること間違なし！

京大坂道（高野参詣道）とは？

高野参詣道は、和歌山県の北部にある高野山の周囲から徒歩で登拝するための参詣道（古道）。ここには7つの参詣道があり、外界（属俗世）から聖地へと入るという意味でも重要なものでした。11〜12世紀に京都の皇室や貴族たちが利用した参詣道であり、その後は庶民も利用する道であったものの、現代になると車道が完成したために古道として、道そのものが世界遺産に登録。

京大坂道は、京都と大阪などから続く高野街道が、高野山の麓である橋本市の学文路（かむろ）で集約されてから高野山の不動坂口まで続く道。江戸時代にはこの道が参詣道の主流で、途中には宿場町が多くありました。そして、南海線の終着駅である「極楽橋」から不動坂口までは「不動坂」と呼ばれ、高低差310mという難所。その先にある女人堂（にょにんどう）は、高野山が女人禁制の時代の祈りの場であり、かつては高野山沿いに7つあったものの、ここは最大規模のもので唯一現存しています。

京大坂道（高野参詣道）はどんな理由で世界遺産に登録されているの？

京大坂道が評価されたのが、以下の点。

登録基準（ii）
紀伊山地に残る霊場と参詣道は、神道と仏教が融合が見られ、東アジアにおける宗教文化の交流と発展を示すということ。

登録基準（iii）
紀伊山地に点在する神社や寺院は、この地の慣習を含めて、1000年以上に渡る日本独自の宗教の発展を示すものであるという点。

登録基準（iv）
紀伊山地は、日本各地の寺社の建築様式に大きな影響を与え、それらの形成のルーツともなっているという点。

登録基準（vi）
紀伊山地の霊場と森林には、1200年に渡って神の宿る地として信仰が維持され、それらが景観に見られるということ。

世界遺産マニアの結論と感想

京大坂道は江戸時代は主流の道であり、日本独自の宗教の発展を示すもので、古くから信仰を集めていて、その伝統が今でも維持されているという点で評価されています。

ちなみに、高野山の女人禁止が解除されたのは1906年。真言宗の総本山である金剛峯寺が開創1100年ということで、空海が山全体に張っていた結界をすべて「全面解除」してから。まるで『呪術廻戦』のようですが、実際に結界の中で禁止行為をするとロクな目に遭わないというエピソードは多々あるので…相当な力を持つ結界だった様子。

※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。