登録区分 | 文化遺産 |
登録基準 | (1),(3),(6) |
登録年 | 1979年 |
ハトシェプスト女王葬祭殿は「古代都市テーベとその墓地遺跡」の構成資産の一つ。古代エジプトでも唯一の女性のファラオ・ハトシェプストのための葬祭殿で、三段のテラスになっているのが特徴。ところで、ハトシェプスト女王葬祭殿はなぜ世界遺産なのでしょうか?
ここではハトシェプスト女王葬祭殿がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、ハトシェプスト女王葬祭殿について詳しくなること間違いなし!
ハトシェプスト女王葬祭殿とは?
王家の谷の東にある広大な葬祭殿。「葬祭殿」とは、王墓に隣接して建造され、ファラオの治世を記念した建造物で、死後も崇拝することができるように設計されたもの。ここは古代エジプト唯一人の女性のファラオであった、第18王朝のハトシェプスト(在位:紀元前1479年頃〜紀元前1458年頃)のために建造されました。構造としては、葬祭殿の手間に広がる3つのテラスが並んでいて、1kmもの傾斜が続いています。
中央テラスの南端には女神ハトホルのための神殿があり、北端に位置するアヌビス神殿には、当時の色彩が残っているレリーフもあることでも有名。葬祭殿の後方には、最高神でもあるアメン・ラー神の至聖所があり、壁には彼女の家族なども描かれています。
しかし、次代のトトメス3世(在位:紀元前1479年頃〜紀元前1425年頃)によって壁画や碑文などからハトシェプスト名前が削られてしまっています。
ハトシェプスト女王葬祭殿はどんな理由で世界遺産に登録されているの?
ハトシェプスト女王葬祭殿が評価されたのが、以下の点。
登録基準(i)
テーベに残る神殿や葬祭殿、墓地に関する遺跡は、人類の創造的資質を示すものであるという点。
登録基準(iii)
テーベの古代都市の名残は、エジプト中王国・新王国の文明の存在を示すということ。
登録基準(vi)
神殿にはアメン・ラー神の信仰があり、墓地遺跡には古代エジプトの人々の死後の世界に対する思想などが見られるという点。
世界遺産マニアの結論と感想
ハトシェプスト女王葬祭殿は、エジプト新王国・第18王朝の繁栄が見られ、ファラオの権威を示すために、さまざまな神々の像などが築かれているという点で評価されています。
ちなみに、息子であるトトメス3世は葬祭殿だけでなく、ありとあらゆるハトシェプストの像や名前を削り取ったのは、摂政であったのに実験を握っていたハトシェプストを恨んでいたためである…というエピソードが有名でした。しかし、最近では、別に恨みがあったわけではなく、女性君主の即位が慣例化するのを防ぐためという説のほうが有力となってきています。
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。