イギリスの世界遺産「旧グリニッジ天文台」とは?子午線を含めて世界遺産マニアが解説

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登録区分文化遺産
登録基準(1), (2), (4), (6)
登録年1997年

旧グリニッジ天文台は「マリタイム(海事都市)・グリニッジ」の構成遺産の一つ。ここは緯度0度、グリニッジ子午線が定められた場所で「グリニッジ平均時」のルーツとなった場所。ところで、旧グリニッジ天文台はなぜ世界遺産なのでしょうか?

ここでは旧グリニッジ天文台がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、旧グリニッジ天文台について詳しくなること間違なし!

目次

旧グリニッジ天文台とは?

グリニッジ
画像素材:shutterstock

イギリスの首都・ロンドンの南東部にあるテムズ川沿いにグリニッジ。ここには1675年に英国王チャールズ2世によって設立した王立天文台があります。グリニッジ・パークの丘の上に位置していて、バロック様式で建造されました。天文台が造られた理由としては、大航海時代において海難事故が多く、航海には正確な緯度と経度の計測が必要という事情もあり、航海術の発展は国家プロジェクトで進められたもの。

よって、ここで北極星の位置を計測し、恒星図を作り、イギリスの位置を定めました。やがてこの場所を中心としてグリニッジ子午線(経度0度)を設けたために、現在の「グリニッジ標準時」の基準ともなっています。

子午線は実は天文台を通っていない?

旧グリニッジ天文台
画像素材:shutterstock

とはいえ、現在の子午線は天文台内ではなく、東へ約102mほどずれています。これは1851年に当時の台長ジョージ・ビドル・エアリーが「エアリー子午線(グリニッジ子午線)」を定め、それが1884年に国際的に認められてしまったために長らくここが世界の基準となっていました。

しかし、グリニッジにあるエアリー子午線の位置は実際の子午線より少しずれてていて、本当に正しい位置にある現在の子午線は天文台には通っておらず、つまり、天文台にあるとされていた子午線は本来の子午線ではないのです。とはいえ、100m程度の誤差ではあるので、現在でもエアリー子午線と本当の子午線を含めて、通俗的に「グリニッジ子午線(本初子午線)」とされていることが多いのです。

旧グリニッジ天文台はどんな理由で世界遺産に登録されているの?

旧グリニッジ天文台
画像素材:shutterstock

旧グリニッジ天文台が評価されたのが、以下の点。

登録基準(i)
グリニッジの建築物は、並外れた人類の創造物であるという点。

登録基準(ii)
グリニッジには、ヨーロッパの建築様式に触発され、イニゴー・ジョーンズやクリストファー・レンなど、偉大な建築家による作品が残り、ヨーロッパの建築の歴史が見られるということ。

登録基準(iv)
自然と調和しながら計画され、建造された宮殿や大学、公園などは、17〜18世紀の英国王室が主導的に進めていて影響力を与えていたということ。

登録基準(vi)
グリニッジの天文台により、天文学が発展し、やがてここがグリニッジ子午線(経度0度)となり、世界標準となったという点。

世界遺産マニアの結論と感想

旧王立天文台が築かれたことで、天文学が発展し、現在でも「グリニッジ子午線」が世界基準となっているという点で評価されています。

ちなみに、天文台の上にあるボールみたいなものは、報時球(ほうじきゅう)と呼ばれ、一定の時間が来ると空へ上がるという時計の役目を持ったもの。イギリスでは午後1時に落とされていて、グリニッジの場合も長らく利用されていて、既に時計が普及した第二次世界大戦時まで稼働されていたそう。

※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。

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この記事を書いた人

世界遺産一筋20年以上!遺跡を求めて世界を縦横無尽で駆け抜ける、生粋の世界遺産マニアです。そんな「世界遺産マニア」が運営するこちらのサイトは1100以上もある遺産の徹底紹介からおもしろネタまで語り尽くすサイト。世界遺産検定一級取得済。

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