大阪府の世界遺産「白鳥陵古墳（軽里大塚古墳）」とは？世界遺産マニアが解説

白鳥陵古墳（しらとりのみささぎこふん、軽里大塚古墳）は「百舌鳥・古市古墳群-古代日本の墳墓群-」の構成資産の一つ。古市古墳群の中でも南部に位置していて、宮内庁からは、かの日本武尊の陵と比定されていることでも有名。ところで、白鳥陵古墳はなぜ世界遺産なのでしょうか？意外と知ってそうで知らない！

ここでは白鳥陵古墳がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、白鳥陵古墳について詳しくなること間違なし！

白鳥陵古墳（軽里大塚古墳）とは？

羽曳野市にあり、古市古墳群の中でも南部に位置していて、墳丘長200m、高さは前方部が20mの前方後円墳。前方部の幅や高さが後円部よりも高いという点で、前方後円墳としては後期に建造されたとされるもの。そして、1981年の調査で出土した埴輪や土器から、5世紀後半の建造と推測されています。

北側のくびれ部には造り出し（古墳に併設する壇状の施設）があり、周囲には幅約35mの濠がありますが、もともとは二重だったとされています。被葬者は不明ではありますが、宮内庁からは第12代景行天皇の皇子・日本武尊（ヤマトタケル）の陵である白鳥陵（しらとりのみささぎ）に比定されていて、西側には拝所も配置。しかし、日本武尊は実在性が薄く、景行天皇の治世も西暦と合わせるのなら4世紀後半とされているので、残念ながら時代も合っていません。

白鳥陵古墳（軽里大塚古墳）はどんな理由で世界遺産に登録されているの？

白鳥陵古墳が評価されたのが、以下の点。

登録基準（iii）
百舌鳥・古市古墳群は、日本全国にある16万もの古墳の中でも、古墳時代を代表するもので、この時代の社会構造や階級、高度な葬送文化を示すものであるという点。

登録基準（iv）
百舌鳥・古市古墳群は、古代の東アジアにおいても優れた陵墓で、埴輪や葺石（ふきいし）で覆われた墳丘は階層社会の確立を示しているということ。

世界遺産マニアの結論と感想

白鳥陵古墳は日本武尊の陵とされているものの、少なくとも偉大な人物の陵であるほどに規模が大きく、古墳が築かれた時代の日本の社会や葬送の文化がよく分かるという点で評価されています。

ちなみに、日本武尊は『古事記』『日本書紀』によると、伊勢国（現在の三重県とほぼ同じ）で死亡し、白鳥となって西方に飛び、大和国（現在の奈良県）と河内国（現在の大阪府）に降りとどまったことからそれぞれに陵が築かれ、奈良県御所市富田にはもう一つの陵が残っています。

一方、白鳥伝説のモデルであったと考えられる水鳥型の埴輪が発掘された、世界遺産・津堂城山古墳（つどうしろやまこふん）は彼が活躍した時代とも一致することから、一説にはここが本当の日本武尊の陵と考えられることも。

※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。