登録区分 | 文化遺産 |
登録基準 | (1),(4),(5) |
登録年 | 1990年 |
ロシア北西部にあるオネガ湖に浮かぶ小さな島。キジー・ポゴストは、キジ島のポゴスト(囲い地)という意味で、島には18世紀に建造された2つの木造教会と、19世紀の時計塔が残っています。鉄以外の金属を全く使用しないという建造物は、その後のロシアの建築様式に大きな影響を与えました。
ここでは、キジー・ポゴストがなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、キジー・ポゴストについて詳しくなること間違いなし!
キジー・ポゴストとは?キジ島に位置する木造教会が登録
キジ島は、ロシア連邦を構成する国の一つ、カレリア共和国にある小さな島。オネガ湖に浮ぶ島は、全長約7km、幅は500mと細長い形。島には16世紀には集落があり、教会があったとされています。しかし、17世紀には落雷にあり、全焼してしまいました。18世紀には再建され、現在残る2つの教会はこの時代のもの。
2つの教会は複数のドームを持つという、非常に高い建築技術で造られています。そして、驚くことに、釘を使わず、斧だけを使用して、高さ37mもの教会を建造。これらはロシアの木造建築の傑作というべき建築物で、湖の風景に溶け込むことにより、独特の雰囲気を醸し出しています。
登録されている構成遺産
顕栄聖堂(プレオプラジェンスカヤ教会)
材料から測定すると1713〜1714年に建設されたもので、夏の短期間のみ使用されていた聖堂。高さは37mと3つ並ぶ建築物で最も高い建物となっています。建物の構造は十字形。キューポラと呼ばれる玉葱状の屋根が22箇所も配置されており、そのバランスはまさに匠の仕事といえるでしょう。内部には17〜18世紀に作られた、102ものイコン画が飾られているイコノスタシス(東方教会に見られる聖所と至聖所の間の壁)があります。
生神女庇護祭聖堂(ポクローフスカヤ教会)
1764年に建設。顕栄聖堂は夏に使用されますが、こちらは冬に使用する目的で造られました。8つのキューポラを持つ可愛らしい聖堂です。最も高い部分は27mで、キューポラは中央のキューポラを囲むように配置されたもの。八角形のテント型の屋根はロシアの木造建築ではよく見るタイプ。
鐘楼
1874年に建造されたもの。生神女庇護祭聖堂と同じく八角形のテント型の屋根。よく見ると屋根の上に一つだけキューポラが設置されているのがユニーク。
キジー・ポゴストはどんな理由で世界遺産に登録されているの?
キジー・ポゴストが評価されたのが、以下の点。
登録基準(i)
2つの教会と鐘楼は完璧な木造建築であり、周囲の風景と調和しているという点。
登録基準(iv)
ロシア北西部の人口の少ない集落にある建築物群の中でもキジー島のものは特に優れた例であるということ。
登録基準(v)
ロシア北西部とフィンランド、スカンジナビアの伝統的な建築物の中でも優れた木製建造物であるいう点。
世界遺産マニアの結論と感想
島の上に2つの教会の間に鐘楼が並び立つ風景はとても印象的で、周囲の風景とも見事にマッチングしています。特にこのキジー島周辺は極寒の地で人口が少なかったにもかかわらず、鉄をほとんど使わずにここまでの芸術的な建造物を作る技術は、職人の匠の技と言うしかないでしょう!
ちなみに、キジー島があるオネガ湖はヨーロッパで2番目に大きい淡水湖。9894平方kmと広い湖で、移動するのが大変。しかし、冬は湖全体が氷ってしまうので、徒歩で対岸に渡れるようになり、夏よりも冬のほうが移動範囲が広がるという不思議な状況に。もちろん、観光は夏がメインなのでご注意を。
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。