イギリスの名物「フィッシュ・アンド・チップス」とは?その魚の種類を含めて世界遺産巡りにおすすめグルメはこれ!

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フィッシュ・アンド・チップスとは、白身魚のフライとフライドポテトを組み合わせた、イギリスを代表するファストフード。最近は日本でも英国式パブが多く浸透しているので食べたことがある方も多いと思うが、シンプルであるものの、実は英国は長い歴史を経た国民食なのだ。そんなフィッシュ・アンド・チップスとはどんなグルメなのか?

今回は、イギリスの世界遺産・ロンドン塔観光のついでにおすすめのグルメ「フィッシュ・アンド・チップス」を紹介。世界遺産巡りのついでに味わってほしい「世界遺産級の激ウマ・グルメ」を解説していこう。

目次

イギリスの世界遺産「ロンドン塔」は下町との境にあった

ロンドン塔
画像素材:AdobeStock

現在のロンドン塔は市内でも中心部に位置するが、18世紀くらいまでは最も東に位置していた。そもそもここはロンドンの玄関であると同時に首都を防衛する要塞として建造されたもの。王の居城でもあったのだが、堅固な要塞としての機能を持つ珍しい建造物だった。それもあり…二重の城壁の中には拷問部屋や牢獄があるのに、宮殿もあるという不思議な構造。

そして、塔から東は「イーストエンド」と呼ばれていて、18世紀までは農地が広がっていたのだが、人口が増えると労働者の町へと変貌し、とにかく貧困や犯罪、病気など、さまざまな問題が起きるエリアとして有名だった。

「ロンドン塔」の詳細はこちら

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フィッシュ・アンド・チップスのルーツはロンドンのイーストエンドにあった

ロンドンのイーストエンド
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このイーストエンドは、労働者の町だったので、手軽でお腹がいっぱいになるグルメが必要だった。…そこでイギリス生まれではないものの、下町で大流行したのが、このフィッシュ・アンド・チップス。安い、早い、美味い…牛丼並に受け入れられていたファストフードらしく、まさに産業革命を支えた労働者にとって理想の食べ物だったのだ。フィッシュ・アンド・チップスは1860年に「ジョセフ・マリン」という店が発祥とされ(諸説あり)、20世紀には市内だけで1200件もあったという。

ジョセフ・マリンは残念ながら現在は残っていないものの、ロンドンの町には今でもフィッシュ・アンド・チップスの店が多くあり、庶民向けの専門店からダイニング・パブまで千差万別。現在は高級レストランでも提供するようになったことから、ファストフードだけでなく、イギリスを代表する名物料理へと発展していった。

フィッシュ・アンド・チップスで使用される魚はタラ?

フィッシュ・アンド・チップス
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今でもフィッシュ・アンド・チップスは、魚を小麦粉に卵や水を溶き、重曹を少し入れた衣で揚げるのが伝統で、専門店ではフライヤーで大量に作るため、フライというよりは天ぷらのような厚さの衣となり、胃もたれするほどのボリュームだ。昔はテイクアウトする時は油を吸収する新聞紙で包んで提供し、労働者たちはこの袋を持って夕方の町を歩く…というのは日常だったらしいが、現在は衛生のためにほとんどが「新聞紙」柄の包み紙となっていて、ここでも英国式の伝統が残っている。

しかし、こういうのは大食漢でないと食べきれない…と思いきや、近年は衣にビールを入れて褐色にしたタイプもあり、これはダイニング・パブやおしゃれなレストランでよく提供され、割とサクサクで胃もたれしない。イギリスを訪れると意外にも「フィッシュ・アンド・チップスの多様性」に驚くだろう。基本的に「センスのない食べ物」と烙印を押されがちだが、奥深いのだ!

コッド/タイセイヨウダラ
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そして、奥の深さでさらにもう一点。フィッシュ・アンド・チップスで使用される魚は「タラ」であるのが一般的。その中でも人気なのが「コッド」と「ハドック」。両方ともタラ類なのだが、コッドはタイセイヨウダラのことで、若干歯ごたえがあることから全国的に人気だ。一方、ハドックはコダラという種類で、コッドに比べてソフトな食感であることから微妙に異なる。さらに本格的な店だと、プレイスと呼ばれるカレイ目も魚だけでなく、シュリンプ(エビ)やサーモンなどもメニューにあったりと、割と種類は多い。

魚喰いの日本人からしても、その差はかなり微妙なのだが、この違いはイギリスの方々にとっては大きな差で、専門店では魚の種類が選べるほど。それくらい魚のフライにこだわりがある!この微妙な食感の違いを堪能するのがフィッシュ・アンド・チップスの真髄なのだ。

…これは「世界遺産級」の味わいだ!

タラを巡ってアイスランドと戦争を起こすほどにイギリスでは愛された食べ物

フィッシュ・アンド・チップス
画像素材:AdobeStock

実はタイセイヨウダラとコダラは北大西洋に生息するのだが、近年は絶滅危惧種となっている。これはヨーロッパの国々の需要によって乱獲が行われたことから。特に産業の乏しかったアイスランドではタラ漁が重要だったため、排他的な法律を制定することで、イギリスを中心とした国家が漁船同士が小競り合いをするという事態にまで陥ったことから「タラ戦争」なんて言われてしまっている(死者は出てないのでご安心を)。

少しずつ回復しているものの…実はフィッシュ・アンド・チップスで利用される魚はギリギリで食べられていて、かなり貴重な料理である。そう思うと、いつもに増してフィッシュ・アンド・チップスがおいしく感じるのでは?

世界遺産のついでに世界遺産級のグルメも同時に楽しんでみてはいかが?

※こちらの内容は、あくまでも過去に現地を訪れた際に体験したものであり、最新情報はご自身でご確認ください。

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この記事を書いた人

世界遺産一筋20年以上!遺跡を求めて世界を縦横無尽で駆け抜ける、生粋の世界遺産マニアです。そんな「世界遺産マニア」が運営するこちらのサイトは1100以上もある遺産の徹底紹介からおもしろネタまで語り尽くすサイト。世界遺産検定一級取得済。

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