ロシアの世界遺産候補「ケノゼロ湖の遺産」とは?世界遺産マニアが解説

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登録区分(暫定リストに記載)複合遺産
登録基準(暫定リストに記載)(3), (4), (5), (6), (7)
申請年(暫定リストに記載)2014年

ロシア北西部に位置するケノゼロ湖は、面積68.6平方kmの広大な湖。周辺には木造の教会を中心とした農村集落が、12〜16世紀にかけて形成され、ここは民族芸術と自然が共存した文化的景観が広がっています。

ここではケノゼロ湖の遺産がなぜ世界遺産候補なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、ケノゼロ湖について詳しくなること間違いなし!

目次

ケノゼロ湖の遺産とは?

ケノゼロ湖の遺産
画像素材:shutterstock

ロシア北西部に位置するアルハンゲリスク州にあるケノゼルスキー国立公園。その中でも最大の湖は、ケノゼロ湖でオネガ川の支流であるケナ川の水源となっています。ここは美しい湖だけでなく、70もの島、そして、湖畔には礼拝堂や小さな村など、ヨーロッパ北部の美しい景観を代表するもので、ロシア北部の伝統的な農村風景を現在に残しています。

周囲には、農村地帯が広がっていて、塗装された間口、彫刻の施されたバルコニー、窓のアーキトレーブ(装飾上の帯状部品)、伝統的な内部装飾が見られる家屋が並ぶのが特徴。この地には木造教会や礼拝堂、十字架、聖なる木立などが点在し、これらはかつて異教を崇拝していた時代の森の小島に建造されたものが多いという点でも、他では見られない独自の景観でもあります。

ケノゼロ湖の建築技術や文化などは、キエフ大公国(882年頃〜1240年)時代の伝統を今も残していて、ロシア北部の文化に深く影響を与えました。

ケノゼロ湖の遺産はどんな理由で世界遺産に登録される予定なの?

ケノゼロ湖の遺産
画像素材:shutterstock

ケノゼロ湖が評価されたのが、以下の点。

登録基準(iii)
天国などが描かれた礼拝堂や聖なる木立だけでなく、記念碑や住宅など、ここはロシア北部の伝統的な農村風景と文化がそのまま残っているという点。

登録基準(iv)
16世紀にロシア北部において景観が決定された、重要な時期における優れた文化的景観が残っているということ。

登録基準(v)
ここは伝統的な土地利用、漁業・農業に基づく経済、古代から保存されている伝統的な農村システムが融合した、ロシア北部の文化的景観の顕著な例であり、現代のロシアでは見られないものであるという点。

登録基準(vi)
ケノゼロ湖はロシア芸術の中心地の一つであり神秘的な環境に対する精神的なアプローチが見られるということ。

登録基準(vii)
湖に周辺には伝統的な農地に建築が並び、ロシア北部らしい美しい景観が続いている例であるという点。

世界遺産マニアの結論と感想

分かりづらい遺産ではありますが、ケノゼロ湖と周囲には、ロシア北部の伝統的な農村風景がそのまま残っていて、それは過去から引き継がれてきた文化も含め、時代とともに消え去った文化的景観が見られるという点で評価されています。

ちなみに、ケノゼロ湖は1990年代まで「木材流送」の通り道であったことで有名。木材流送は、河川の水流を利用して、船で木材を大量に引っ張るという運用法で、まるで橋のようになるというのが特徴です。とはいえ、日本でも1950年代まではメジャーな運用法でもありました。

※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。

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この記事を書いた人

世界遺産一筋20年以上!遺跡を求めて世界を縦横無尽で駆け抜ける、生粋の世界遺産マニアです。そんな「世界遺産マニア」が運営するこちらのサイトは1100以上もある遺産の徹底紹介からおもしろネタまで語り尽くすサイト。世界遺産検定一級取得済。

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