登録区分 | 文化遺産 |
登録基準 | (2),(4),(5) |
登録年 | 1997年 |
イタリア南部のソレント半島にあるアマルフィ海岸は、青い海と断崖に張り付くように家々が並び、「世界一美しい海岸」と呼ばれるエリア。ここは人々が中世からぶどう畑や牧草地などを開発しつつ暮らし、海岸沿いには段々状に家が並ぶアマルフィやラヴェッロなどの美しい都市が点在します。
ここでは、アマルフィ海岸がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、アマルフィ海岸について詳しくなること間違いなし!
アマルフィ海岸とは?なぜ設計が続く?
イタリア南部のカンパニア州サレルノ県にあるソレント半島の南東側に広がる海岸が、アマルフィ海岸。ここは波による侵食によって形成された地形で、断崖が広がるエリアです。30km以上にも及ぶ海岸線には、段々状の小さな町が点在。
彼らは海岸沿いの低いエリアにはブドウ畑や果樹園などを作り、断崖の高いエリアは牧草地として羊を飼育して暮らしていました。
この地は、旧石器時代の遺跡も発見され、古くから人が住み続けていて、4世紀にはローマの植民都市に。中世から徐々に人口が増加していきます。半島の南側は自然の要塞となっていて、やがて9世紀にはアマルフィ公国として栄え、最盛期は地中海だけでなく、黒海まで交易してました。
海岸沿いに並ぶ町には、美しい建築物が多く造られました。しかし、それらは12世紀にはノルマン人やピサ共和国によって破壊され、アマルフィ公国は衰退。そのため各町は当時の建造物の保存状態が良く、リゾート地として人気を集めています。
アマルフィ大聖堂
アマルフィの中心部に9世紀頃に建造された大聖堂。イエスの使徒の一人で、漁師の守り神である聖アンデレを祀ったもの。13世紀に聖地から聖遺物をこの地に持ち込まれたと伝えられています。
アマルフィ公国は地中海で交易していただけに、アラブとノルマン文化が融合した建築様式である「アラブ・ノルマン様式」が採用されていて、鐘楼などはイスラム建築が見られるのが特徴的。大聖堂に隣接する「天国の回廊」もアラブ・ノルマン様式が採用され、独特の景観を持ちます。
アマルフィ海岸はどんな理由で世界遺産に登録されているの?
アマルフィ海岸が評価されたのが、以下の点。
登録基準(ii)
9〜11世紀に栄えたアマルフィ共和国によって、海岸沿いは東西の文化を融合しつつ、断崖に家々が並ぶという文化的景観が見られるという点。
登録基準(iv)
アマルフィやラヴェッロなど、海岸沿いの各都市は、中世から何世紀にも渡って自然とともに建築や芸術作品を多く形成していったということ。
登録基準(v)
アマルフィ海岸は、古代の集落から始まり、畑や牧草地など、その地形を活かして土地を開発していったため、非常にさまざまなタイプの景観が見られるという点。
世界遺産マニアの結論と感想
アマルフィ海岸はその厳しい環境の中で、古代から人が住み続け、畑や牧草地などを開拓していました。やがてアマルフィ共和国が成立するとアラブ・ノルマン様式の建築物が並ぶ景観になったという点が評価に繋がっています。それが文化的景観となって今でも見られるというのもポイントです。
ちなみに、レモンを使用したリキュール、リモンチェッロはアマルフィ海岸が名産地として有名。今ではイタリア各地でリモンチェッロは飲まれていますが、もともとはソレントの家庭でしか飲まれていなかったもの。バカンスとして訪れた観光客の口コミによって世界中に広まったのです。
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。